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小さいけど素敵な家を建てる|「広さ」より「豊かさ」を重視したコンパクトな間取りの考え方

2026/2/15

小さくても素敵な家の間取り

お子さまが巣立ったご夫婦や、賃貸ではできない一人暮らしを実現したい方など、小さい家づくりを検討する方が増えています。

いわゆる狭小住宅ではなく、延床面積をコンパクトにしてきちんとコストをかけることで、豊かな暮らしを実現するという考え方です。

敷地が広くても、建物を大きくすることが必ずしも豊かさにつながるわけではありません。

初めてのマイホームは家族の人数や部屋数といった機能性を優先せざるを得ないことが多いですが、2番目の住まいや自分だけの城であれば、小さく建てて理想を実現することも可能です。

本記事では、小さいけど素敵な家を建てるための大前提となる考え方から、コンパクトな家の間取りをおしゃれで開放的に見せる設計の工夫まで、専門的な視点で解説します。

広さだけではなく、ご自身にとって本当に豊かな暮らしを実現するための住まいづくりにお役立てください。

 


コラムのポイント

  • 小さい家づくりは無駄なコストを省き、住まいの質を高めて豊かな暮らしを送ることにつながります。
  • 圧迫感や収納不足など、小さい家で失敗や後悔につながりやすいデメリットと対策を覚えておきましょう。
  • 必要な広さや部屋数、要望の整理やコンセプトの明確化など、小さくてもおしゃれで暮らしやすい家づくりのコツを解説します。

 

小さい家を建てるメリット|「豊かな家」を叶えるための選択

小さいけど広く見える家のリビング

「小さい家」と聞くと、コストを抑えるための消極的な選択に思われるかもしれません。

しかし、あえて小さい家を建てることにはさまざまなメリットがあり、暮らしの質を高めることにつながる前向きな選択という考え方もできます。

小さい家を建てることのメリットについて、1つずつチェックしていきましょう。

無駄をなくし、本質的な「質」にコストをかけられる

家を小さくすることは単なるコストダウンではなく、本当に必要な場所に費用をかけて住まいの質を高められる点がメリットです。

例えば、3~4LDKで一般的な延床面積30坪程度の家だと、どこかに妥協して費用バランスを取る必要があります。

一方、延床面積を絞ってムダをなくせば、間取りや設備・建材などの選択肢が広がり、本質的な心地よさや豊かさに費用をかけることができます。

部屋数や広さを優先するのではなく、あえてコンパクトにして密度を高くすることで、豊かな暮らしを送れる家を建てることができるのです。

必要なものに手が届く、機能的な動線と管理のしやすさ

ライフスタイルに合わせたちょうど良い広さの家は、生活や家事に関わる動線を効率よくまとめることができるのもメリットの1つです。

延床面積を抑えることでそれぞれの間取りが近くなり、必要なものにサッと手が届く効率的な動線をつくりやすくなります。

また、無駄なスペースを減らすことで掃除の手間が減り、将来のリフォーム時の費用を抑えることもできます。

光熱費を抑えられる

コンパクトな家は、空間が小さい分だけ空気の量が少なく、外気に接する屋根・外壁・窓の面積も抑えられます。

そのため、少ないエネルギーで室温を調整でき、冷暖房費を削減しやすくなります。

また、部屋数が少ないことで照明器具や家電の数も減り、無駄な消費電力を抑えられる点もメリットです。

敷地を有効活用できる

家の面積を小さくすることで、敷地を広く有効活用できるのもメリットです。

駐車場や庭の家庭菜園、外部収納など、大きい家より敷地活用の選択肢が広がります。

敷地面積が限られることが多い都市部の狭小地などでは、小さい家を建てるメリットも大きくなります。

小さい家のデメリットや注意点

小さい家のリビング

さまざまなメリットがある反面、小さい家を建てることには注意すべきデメリットもあります。

具体的な対策や考え方は次の章から解説しますので、ここではまずどんなデメリットがあるのか把握しておきましょう。

圧迫感が出やすい

延床面積が限られる小さな家は、リビングや居室、玄関などに圧迫感が出やすい点がデメリットです。

部屋数や間取りにもよりますが、限られたスペースを収納と居住空間に振り分けるため、狭さや圧迫感を感じてしまうリスクが考えられます。

圧迫感は小さい家づくりにおける重要な課題の1つなので、後半で対策を詳しく掘り下げます。

収納が不足しやすい

日本の住宅事情では収納不足が課題となることが多いですが、平均より小さい家は特に注意が必要です。

居住スペースを重視して収納が不足すると、物があふれて暮らしにくくなり、生活感や前述した圧迫感にもつながります。

収納不足の対策についても、後半でしっかり解説します。

敷地のメンテナンス手間が増える

小さい家は敷地を有効活用しやすい反面、土の場所が増えると草むしりや落ち葉掃除などのメンテナンスの手間が増えるのもデメリットです。

特に、外構計画をよく考えずに小さい家の計画だけ立てると、実際に暮らし始めてから後悔するリスクがあります。

敷地のメンテナンス負担については、後述する中庭や離れなどの間取りアイデアも検討してみましょう。

小さいけど素敵な家を建てるためにまず考えるべきこと

小さいけど素敵な家の外観

前述したようなメリット・デメリットを踏まえて、小さいけど暮らしやすく素敵な家を建てるために考えるべきことを解説します。

要望を整理しコンセプトを明確にする

具体的に間取りを考える前に、まず住まいに対する要望をリストアップ・整理してコンセプトを明確にしましょう。

小さい家だからこそ、建てる目的やコンセプトを絞り込むことで、豊かな暮らしを実現することができます。

なぜ小さい家を建てるのか、どんな暮らしを実現したいのか、賃貸やマンションなどほかの選択肢ではできないことなのかなど、根本的な部分についてしっかり考えましょう。

例えば、お子さまが巣立った後で夫婦2人で静かに暮らしたい、自宅で店舗や事業を始めたい、1人で趣味に思いきり打ち込みたいなど、人によってコンセプトは異なります。

最初は思いついたことをどんどんメモしていくことで、住まいづくりの目的やコンセプトが明確になっていきます。

豊かな暮らしに必要な部屋数と広さを考える

小さい家で実現したいライフスタイルが見えてきたら、どれくらいの部屋数や広さが必要なのか考えましょう。

一口に小さい家と言っても明確な基準はなく、適切な広さや間取りは人それぞれです。

「豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積」である誘導居住面積水準を基に、1人・2人暮らしの場合を計算してみましょう。

 

  • 一般型誘導居住面積水準:都市の郊外及び都市部以外の一般地域における戸建住宅を想定
  • 都市居住型誘導居住面積水準:都市の中心及びその周辺における共同住宅居住を想定

 

基準 1人暮らし 2人暮らし
一般型誘導居住面積水準 55㎡(約16.63坪) 75㎡(約22.68坪)
都市居住型誘導居住面積水準 40㎡(約12.1坪) 55㎡(約16.63坪)

※出典:国土交通省「住生活基本計画」

 

一般的な戸建て住宅を想定した場合、1人暮らしで約16.63坪、2人暮らしで約22.68坪の延床面積となります。

しかし、敷地や住宅の面積が限られる都市部のマンションやアパートを想定した場合、2人暮らしでも約16.63坪の面積です。

これらの数値を踏まえて考えると、2人暮らし以下の小さな家の延床面積は16坪前後が1つの目安と言えそうです。

例えば、夫婦2人暮らしで1LDKなら、15坪前後でも十分暮らしやすい間取りをつくることができます。

持ち物の整理

平均より小さな家を建てる場合、具体的なプランをつくる前に現在の持ち物を整理するのも大切なポイントです。

延床面積が限られている場合、今の持ち物をすべて新居に納めようとすると、収納や居住スペースが不足してしまう可能性が高いです。

持ち物を見直し不要な物を整理することが、小さくてもおしゃれで暮らしやすい家を建てることにつながります。

住まいづくりをちょうど良い機会ととらえ、必要な物だけを整理してみましょう。

コンパクトでも開放感のある間取りづくりのポイント

小さな家の設計

小さい家で圧迫感が出るのを防ぐために、コンパクトでも開放感があり、実際の床面積以上の広さに見える間取りづくりのポイントを解説します。

居室と収納のバランス

小さくても開放感がある家を建てるためには、居室と収納量のバランス・配置について考える必要があります。

収納が多すぎると居住スペースが圧迫され、少なすぎても物があふれて圧迫感が出る原因になります。

まずはさきほど整理した持ち物をリストアップし、必要な収納量を割り出しましょう。

居室とのバランスを考えながら、1か所に大きい収納をつくるのか、分散するのか考えることが大切です。

また、壁一面の造作収納で凹凸をなくし、圧迫感が出ないように工夫するのも1つのアイデアです。

オーダーメイドの造作収納は、すき間をなくしてスペースを有効活用できるため、圧迫感の軽減に効果的。

〈関連コラム〉

造作家具とは?メリット・デメリットやオーダーメイド成功のポイントを解説

抜け感と余白をつくる

窓の配置で視線の抜け感をつくり、壁の余白との対比で開放感を演出するのも小さい家を広く見せるポイントです。

例えば、カーテンを開けて空が見える窓をつくり、視線が抜けるようにすることで実際の床面積以上の開放感を演出できます。

ただし、単純に窓を増やせば広く見えるわけではなく、壁の余白を設けてそれぞれを引き立てることも大切です。

〈関連コラム〉

開放感のある家のメリット・デメリットと考え方のポイント|開放的な空間がある施工実例も

カーテンを開けて暮らせる家づくりのすすめ|間取りのポイントや施工事例も紹介

天井高のコントロール

天井を高くすることも、小さくても開放的な家をつくるアイデアの1つです。

天井の位置が高くなると視線が上へ抜け、実際の床面積以上の開放感を得ることができます。

2階建ての吹き抜けや平屋の勾配天井などで天井の位置を高くしても、床面積は変わらないため小さい家でも取り入れやすいです。

また、空間全体を高くするのも効果的ですが、廊下は一般的な天井高にして、リビングを高くすることで部屋に入ったときの開放感を演出する方法もあります。

可変性のある間取りづくり

従来の一般的な考え方にとらわれず、可変性のある間取りづくりをするのも小さい家を広く見せることにつながります。

リビング・寝室などそれぞれの部屋に名前を付けず、あえて仕切らずゆるやかにゾーニングすることで、可変性と開放感が高い間取りをつくることもできます。

小さい家だからこそ、間取りの役割を限定しないことで、限られたスペースを多目的に有効活用できるケースもあります。

小さい家で取り入れたい間取りアイデア

延床面積が小さい家でも取り入れやすく、デザイン性や開放感を高められる間取りアイデアをご紹介します。

中庭

中庭のある家の間取り実例

壁に囲まれた中庭やコートの間取りは、小さくても開放的な家づくりで取り入れたいアイデアの1つです。

中庭に隣接する部屋は自然光を採りこみやすく、視線も抜けるため実際の床面積より広い空間づくりにつながります。

〈関連コラム〉

中庭のある家の間取り実例|メリット・デメリットや間取りづくりのポイントも解説

離れ

離れの建築事例

小さい家によって余裕が生まれる敷地に、離れを建てるのも1つのアイデアです。

母屋から切り離した離れは、仕事や趣味に集中するプライベートスペース、季節家電やアウトドア用品の収納などさまざまな用途で活躍する間取りです。

敷地に離れを建てることで土の面積が減り、前述した庭の掃除やメンテナンスの手間が減るのもメリット。

〈関連コラム〉

離れのある家の建築事例|母屋との位置関係や動線など間取りの考え方を解説

まとめ

小さい家にはさまざまな魅力やメリットがあり、1人暮らしや子育てが終わった夫婦2人暮らしのご家庭にとって理想的な選択肢です。

あえて敷地いっぱいに広く建てるのではなく、コンパクトにすることで空間の質を高め、豊かな暮らしを実現できる住まいづくりを考えてみてください。

私たちcaseIT(ケースイット)は、お客様に合わせた建築プランのご提案から施工までお手伝いする設計施工会社です。

お客様の理想のライフスタイルをお伺いし、どれくらいの大きさの家がちょうど良いのかご提案することも可能です。

ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者情報

石井崇秀/caseIT株式会社代表取締役のプロフィール画像
石井崇秀/caseIT株式会社代表取締役
■ 経歴
別荘や集合住宅、医療施設、商業施設の設計を経て、2016年にcaseITを設立。住宅やリノベーション、店舗デザインを幅広く手がける。
「すべてのデザインに理由がある」を信条に、美しさと機能性を両立した家づくりを実践。土地探しからメンテナンスまで寄り添い、年間5棟限定で丁寧な家づくりを行っている。

■ 資格情報
二級建築士(神奈川県知事登録 第11074号)

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