擁壁の確認申請が必要な条件|検査済証や劣化などチェックポイントも解説

2025/8/30

確認申請が必要な2メートル以上の擁壁

擁壁のある土地に家を建てる場合、確認申請が必要かどうかが重要なポイントです。

擁壁の高さや条件によっては確認申請が必要となり、補修やつくり直しで多額の追加費用がかかる可能性があるためです。

そこでこの記事では、擁壁の確認申請が必要になる条件や不要なケース、土地選びの段階でチェックすべきポイントについて詳しく解説します。

 


コラムのポイント

  • 高さ2メートル以上の擁壁は確認申請の対象となり、新築や建て替えをする際の追加費用がかかる可能性があります。
  • 確認申請が不要な擁壁も、劣化や破損などのチェックをしないと家を建てた後のリスクがあります。
  • 検査済証の有無や建築基準法への適合など、擁壁のある土地のチェックポイントをご紹介します。

 

擁壁のある土地の家づくりは確認申請の有無が重要

確認申請が必要な高い擁壁のある土地

既存擁壁がある土地に新築注文住宅を建てる場合、または擁壁のある中古住宅をフルリノベーションする場合、擁壁も確認申請の対象になる可能性があります。

擁壁の状態によっては確認申請が通らず、補強やつくり直し、地盤補強などで多額の費用がかかり、家づくりの予算を圧迫するケースもあるため注意が必要です。

擁壁のある土地は相場より安く購入できることもありますが、確認申請のために追加費用がかかるとかえって高くついてしまうリスクもあるのです。

購入を検討している土地に擁壁がある場合は、確認申請の必要性や法基準を満たしているか確認したうえで、手続きや家づくりにかかるトータル費用を把握することが重要となります。

次の章から、擁壁の確認申請が必要になる条件や、土地選びの際にチェックすべきポイントを1つずつ見ていきましょう。

擁壁の確認申請が必要になる条件

現行の建築基準法では、高さ2mを超える擁壁は「工作物」という扱いになり、建築確認申請が義務付けられています。

 

擁壁の高さの測り方の図解

参照:川崎市 建築物の構造・設備に関するよくある質問

擁壁の高さの測り方は、低い方の地盤面(下部GL)から高い方の地盤面(上部GL)の差で、ここが2メートルを超える場合は確認申請の対象となります。

工作物扱いとなる擁壁をつくり直す場合は、構造計算を行ったうえで必要書類を窓口に提出して、審査を受けてから着工する流れです。

また、高さ2mを超える擁壁がある土地で新築や建て替え、大規模な改修など確認申請が必要な工事を行う場合は、擁壁も対象になります。

擁壁の確認申請が不要なケース

確認申請が不要な擁壁

次のような場合は、擁壁の確認申請が不要となる可能性があります。

 

  • 擁壁の高さが2m以下
  • 都市計画法の開発許可を受けている
  • 宅地造成及び特定盛土等規制法の許可を受けている

 

高さが2m以下の擁壁は原則的に確認申請は不要のため、新築や建て替え、大規模なリフォームやリノベーションをする場合でも問題ありません。

また、都市計画法や宅地造成及び特定盛土等規制法の許可を受けている擁壁も、確認申請が不要になるケースがあります。

ただし、上記に当てはまる擁壁でも、自治体の条例や建築指導課などの判断によっては確認申請が必要になる可能性もあります。

また、確認申請が不要な場合でも、擁壁が劣化している、または現行の構造基準を満たしていない場合は注意が必要です。

確認申請が不要な場合は、既存擁壁はそのままで新築や建て替えをしても問題はありません。

しかし、実際に暮らし始めてから擁壁が崩壊して住まいにダメージを与えたり、周囲に被害を及ぼして損害賠償請求を受けるリスクがあります。

仮に確認申請が不要な擁壁であっても、家を建てる前に必ず専門家と耐久性や状態をチェックしましょう。

確認申請が必要な擁壁でチェックすべきポイント

確認申請が必要な擁壁の現場調査

購入を検討している土地に2mを超える擁壁があり確認申請が必要な場合は、次のポイントをチェックしてリスクを回避しましょう。

検査済証の有無

確認申請が必要な擁壁がある土地を検討するときは、まず検査済証の有無をチェックしましょう。

検査済証とは建築基準法に基づき確認申請を行い、完了検査を受けたことを証明する書類のことです。

検査済証は擁壁が現行の法基準を満たしていることの証明になるため、家を建てるときの確認申請をスムーズに進めることができます。

逆に、検査済証がない擁壁は、家を建てるときに補強やつくり直しが必要になる可能性があります。

ただし、築年数が古い擁壁は検査済証を紛失してしまっているケースが多く、絶対に確認申請が通らないということではありません。

専門家による現場調査を行って擁壁の構造や強度に問題がないか確認し、報告書を提出することで確認申請を通せる可能性があります。

不適格擁壁ではないか?

擁壁の検査済証が無い場合は、現行の建築基準法に適合していない「不適格擁壁」にあたらないか確認が必要です。

 

※不適格擁壁の例

種類 概要
空石積造擁壁 モルタルやコンクリートで固めず、石を積み上げただけの構造。
増し積み擁壁 既存擁壁の上にコンクリートブロックを増し積みしたもの。
大谷石擁壁 天然石である大谷石を積み上げた擁壁で、風化・劣化しやすい。
二段擁壁 擁壁の上に別の擁壁がつくられているもの。
張り出し床版付擁壁 擁壁の上で床版が張り出しているもの。

 

上記のような不適格擁壁は現行の建築基準法施行前につくられたもので、単体では違法ではなくつくり直しの必要はありません。

しかし、同じ敷地内で新築や建て替えをする場合は確認申請の対象になるため、一度解体してつくり直す必要があります。

擁壁のつくり直しには多額の費用がかかる可能性があるため、土地を購入する前に必ずチェックして予算オーバーを防ぎましょう。

築年数や劣化状態

仮に法基準を満たしている擁壁であっても、築年数や劣化状態は必ずチェックすべきポイントです。

水抜き穴の詰まりや表面のひび割れ・ブロックのずれなど、劣化している擁壁は補強やつくり直しが必要になることがあります。

こちらのコラムで擁壁のある土地のチェックポイントについて詳しく解説しています。

〈関連コラム〉

擁壁のある土地はやめた方がいい?メリット・デメリットや後悔を防ぐポイントを解説

家づくりが制限されないか

確認申請が必要な高さ2メートルを超える擁壁がある土地では、家づくりにかかる制限のチェックも必要です。

例えば、擁壁の周囲一定範囲には家を建てられないなど、自治体のがけ条例などで制限されるケースがあります。

また、擁壁の近くに基礎を支える杭を打てないことがあるなど、物理的な問題で家づくりが制限されることも。

擁壁に関する制限がかかる土地では、思ったような広さや間取りの家を建てられず後悔するリスクがあります。

なるべく家づくりに関する法令や擁壁のある土地での建築実績が豊富な専門家に、自治体への確認を含めて事前相談するのが確実です。

私たちcaseIT(ケースイット)は、設計施工会社として擁壁のある土地のチェックから実際の家づくりまでトータルサポートいたします。

東京・神奈川エリアで擁壁のある土地の家づくりの実績もございますので、ぜひお気軽にご相談ください。

▼caseIT(ケースイット)の施工エリア

まとめ

新築や建て替え、大規模なリフォームやリノベーションをする場合、擁壁も確認申請の対象となる可能性があります。

擁壁の状態によっては補強やつくり直しの費用がかかる可能性もありますので、土地選びの段階から専門家に相談するのがおすすめです。

東京・神奈川エリアで擁壁のある土地での家づくりをご検討の際は、caseIT(ケースイット)にご相談ください。

多くの注文住宅づくりで培った実績を活かし、擁壁のチェックから建築プランづくりまでトータルサポートいたします。

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