都市の中で落ち着きと開放感を両立することをテーマにした、
タワーマンションの改修事例です。

地上25階建ての建物の7階に位置するこの住まいは、周囲の街並みを見渡しながらも、外の喧騒を感じさせない穏やかな環境が特徴です。
改修前は部屋の区切りが多く、光や風の通りが制限されていたため、眺望を十分に活かしきれない構成でした。

そこで私たちは、リビング・ダイニング・キッチンを一体的に整え、視線の抜けと回遊性を高めることで、限られた専有面積の中にも広がりを感じられる構成としました。

床には木の質感を活かした無垢材を採用し、天井や壁は白を基調としています。素材のトーンを抑えることで光がやわらかく反射し、昼と夜で異なる表情を生み出します。

キッチンは既製品をベースにカスタマイズし、機能性と意匠性の両立を図りました。リビングとの連続性を意識しながら、収納や設備のラインを整えることで、空間全体の統一感を高めています。

窓際には、施主様と担当者のこだわりで設けた雪見障子を配置。都市の景色をやさしく取り込みながら、季節や時間によって光の表情を変える仕掛けです。開放的でありながらも、心を落ち着かせる静かな空気をもたらしています。

また、水まわりや個室は動線を整理し、用途に応じた独立性を確保しました。照明計画では直接光を避け、天井や壁に反射させる間接照明を採用することで、都市の中でも静けさを感じられるよう配慮しています。

窓の外に広がる街の景色と、室内に広がる木の表情。それぞれがゆるやかに溶け合い、日常の中に穏やかな時間を生み出しています。

caseITでは、「すべてのデザインに理由がある」という思想のもと、住まいを単なる器としてではなく、暮らしの質を整える“環境”として捉えています。素材・光・距離感を丁寧にデザインし、日常の中に静けさと豊かさを感じられる住まいを、これからも提案していきます。