お問い合わせ
相談会のご予約
MENU

古い擁壁がある家の購入・建て替えのデメリットやリスク|後悔を防ぐポイントを解説

2025/11/30

古い擁壁の上に建つ家

この記事では、古い擁壁がある家を購入したり、建て替えをしたりするときに必要な基礎知識をわかりやすく解説します。

土地や住宅を購入・建築する際、擁壁の有無はプランや費用に大きく影響する重要なポイントです。

そこで今回は、擁壁の役割や種類から家づくりとの関係、購入や建て替えの際に注意すべきポイントや対策までセットで紹介します。

購入を検討している家や中古住宅に擁壁がある場合は、規模や築年数に関わらず、今回の記事を参考にしてください。

 


コラムのポイント

  • 古い擁壁がある家の建て替えでは、一般的な土地より建築費用が多めにかかる、建築プランが制限されるなどのリスクやデメリットがあります。
  • 検討している土地や家に古い擁壁がある場合は、専門家との事前チェックで総合的な判断をすることが大切です。
  • 擁壁のチェックや工事の依頼先、耐用年数など、よくある質問にもまとめてお答えします。

 

擁壁とは

耐用年数が長い鉄筋コンクリート擁壁

擁壁とは、崖など高低差のある土地の崩壊を防ぐための構造物のことです。

高台や傾斜地など高低差のある土地は大雨による土砂崩れのリスクがあるため、地盤を保持するために自然石やコンクリートなどの擁壁が必要です。

また、一定の高低差がある土地では、宅地造成等規制法や建築基準法などで擁壁の設置が義務付けられています。

擁壁は素材や構造の違いによっていくつかの種類があります。

 

種類 特徴
鉄筋コンクリート擁壁(RC擁壁) ・鉄筋とコンクリートを組み合わせた壁状の擁壁

・耐久性が高く耐用年数が長め

・垂直につくることができ土地を有効活用しやすい

・L字型や逆T字型などのバリエーションがある

・コストが高い

重力式擁壁 ・大きなコンクリート塊の重さで土圧を支える擁壁

・比較的コストを抑えやすい

・台形のような形状で土地を活用できる範囲は狭くなる

練積み擁壁 ・コンクリートブロックや石をモルタルやコンクリートで固定しながら積み上げる擁壁

・比較的コストを抑えやすい

・狭い場所でも施工しやすい

・斜めになるため土地を活用できる範囲は狭くなる

型枠ブロック擁壁 ・型枠ブロックの中にコンクリートを流し込み一体化した擁壁

・施工性が高くコストも抑えやすい

・大規模な擁壁には不向き

空石積み擁壁 ・コンクリートを使わず自然石やブロックを積み上げただけの擁壁

・強度が低く崩壊リスクが高い

大谷石擁壁 ・自然石の大谷石を積み上げた擁壁

・大谷石自体の耐久性が低く崩壊リスクが高い

 

一般的な住宅地で見られることが多いのは、主に上記のような擁壁です。

現在も使われているのは鉄筋コンクリート擁壁・重力式擁壁・練積み擁壁などで、空石積み擁壁や大谷石擁壁などは古い住宅地や家で見かけることがあります。

 

擁壁ではないブロック塀の土留め

特に築年数が古い土地や家では、コンクリートブロックや万年塀などを簡易的な土留めとして使っているケースもありますが、これらは擁壁には含まれません。

擁壁に比べて地盤を支える力や耐久性が低いため、検討している土地や家に簡易的な土留めがある場合は特に注意しましょう。

古い擁壁がある家のデメリットやリスク

古い擁壁がある家

古い擁壁がある家を購入してリノベーションしたり、建て替えたりする場合は、次のようなデメリットやリスクに注意する必要があります。

具体的な対策は次の章で解説しますので、ここではどんなデメリットやリスクがあるのか把握しておきましょう。

崩壊した場合に賠償責任を求められる

古い擁壁が万が一崩壊した場合、賠償責任を求められるリスクがあるため注意が必要です。

擁壁は所有者に管理責任があり、崩壊して周囲に被害を及ぼした場合は損害賠償責任を負います。

大規模な崩壊はもちろん、擁壁の一部が落下して下の建物や車などに被害を与えるようなケースもあります。

擁壁の築年数が古いほど崩壊するリスクが高くなるため、特に注意しましょう。

一般的な土地より建築費用が多めにかかる

擁壁が古い場合、家づくりの際に補修ややり直し工事が必要になることがあり、建築費用が多めにかかる可能性があるのもデメリットです。

特に2メートルを超える擁壁は確認申請の対象となり、現行の法基準を満たしていない「既存不適格擁壁」の場合はそのまま家を建て替えることはできません。

既存不適格擁壁は大規模な改修ややり直し工事が必要になり、多額の費用がかかる可能性があります。

〈関連コラム〉

擁壁の確認申請が必要な条件|検査済証や劣化などチェックポイントも解説

擁壁工事・補修にかかる費用相場は?土地購入前に知っておきたい基礎知識

家を建てる場所や面積が制限される可能性がある

古い擁壁がある家を建て替える場合、建築可能な範囲や面積が制限され、思い通りのマイホームをつくれないリスクもあります。

擁壁の周囲は万が一崩壊した際の安全性を確保するため、一定の範囲に家を建てられないケースがあります。

また、擁壁の位置や構造によっては、建て直しの際の地盤改良で杭を打ち込むことができず、建てられる範囲が制限されることも。

境界線に関する隣人トラブルのリスクがある

古い擁壁が隣地との境界線上にあると、補修費用や敷地の範囲などで隣人トラブルが発生するリスクがあるのも注意すべきデメリットです。

例えば、境界線上の擁壁をつくり直す必要がある場合、どちらが費用を負担するのか、どの位置につくるのかなど隣地所有者と協議する必要があります。

隣地所有者との話し合いに折り合いがつかない場合、計画がスムーズに進まず、資金計画や建築プランに影響を及ぼす可能性も考えられます。

古い擁壁は境界線を示す標識が紛失している場合もあり、特に注意が必要です。

古い擁壁がある家の購入・建て替えの後悔を防ぐポイント

古い擁壁の耐用年数をチェックする専門業者

前述したようなデメリットやリスクに対策し、古い擁壁のある家を購入・建て替えするときの後悔を防ぐポイントを押さえておきましょう。

現行の法基準に適合しているか確認

検討している土地や家に高さ2メートル以上の古い擁壁がある場合は、まず現行の法基準に適合しているか確認が必要です。

不動産会社に建築確認申請を受けていることを示す「検査済証」があるか確認したり、自治体の窓口に問い合わせたりするのが確実です。

もし現行の法基準を満たしていない不適格擁壁の場合は、補修ややり直しにかかる費用を計算し、その分土地や建物の価格から値引きできるか交渉してみましょう。

劣化状態を確認

古い擁壁が現行の法基準を満たしている場合でも、劣化状態を確認することが大切です。

例えば、擁壁の状態が悪く10年しか寿命がない場合、家を建て替えた後で大掛かりな工事と多額の費用が発生する可能性があります。

擁壁の状態とあと何年持つのか確認し、建て替えた後のライフプランを踏まえて計画を立てることが大切です。

希望の家を建てられるか確認

前述したように擁壁のある土地では建て替えプランが制限されることもあるため、物件を購入する前に希望の広さや間取りの家を建てられるか確認しましょう。

なるべく、擁壁のある土地での家づくりの実績がある住宅会社に相談し、建築プランや見積もりを含めてトータルで判断することが大切です。

物件を購入する前に専門家にチェックしてもらうことで、前述したデメリットやリスクに対応し、予算内で理想の家を建てられる可能性が高くなります。

私たちCase IT(ケースイット)は、東京都・神奈川県を中心に擁壁のある土地での家づくりをサポートした実績が多数ございます。

古い擁壁のある土地の購入前のチェックや、建築プランづくりから実際の施工までトータルサポートが可能です。

ぜひお気軽にご相談ください。

▼caseIT(ケースイット)へのお問い合せ

古い擁壁がある家でよくある質問

古い擁壁がある家

最後に、古い擁壁がある家の購入や建て替えを検討するとき、よくある質問にまとめて回答します。

Q.擁壁工事はどこに頼むべき?

擁壁の補修ややり直し工事を依頼できる業者はさまざまですが、家を建てる前提なら住宅会社に相談するのがおすすめです。

家づくりと擁壁工事の窓口が1つになるためスムーズに進めやすく、総額費用を把握しやすいため予算オーバーを防ぎやすいのもメリットです。

また、住宅会社の場合、建物と擁壁の基礎を一体化して、費用を抑えつつ強度を高めるといった選択肢も取りやすくなります。

こちらで擁壁工事の依頼先の種類や考え方について詳しく解説しています。

〈関連コラム〉

擁壁工事はどこに頼む?擁壁業者選びのポイントを解説

Q.擁壁の耐用年数は何年?

擁壁は構造によって期待できる耐用年数が異なり、20~50年と幅があります。

また、土地の状況や擁壁の劣化具合によって寿命にも差があるため、1軒ごとに専門家と状態をチェックするのが望ましいです。

こちらのコラムで擁壁の耐用年数について詳しく解説しています。

〈関連コラム〉

擁壁の耐用年数は何年?劣化状態の確認方法と新築・建て替え時の考え方を解説

Q.擁壁の下の土地は買わない方がいい?

擁壁の下にある土地でも、法基準を満たしていれば家を建てること自体は問題ありません。

しかし、擁壁が上の土地につくられている場合、所有者が今後適切にメンテナンスをするかどうか分からないため、一定のリスクはあります。

また、既存の擁壁が古かったり、現行の法基準を満たしていない不適格擁壁だったりすると、家づくりに制限が出たり、地滑りによる被害を受ける可能性も考えられます。

土地の価格や上記のようなリスクを踏まえて、万が一崩壊したときに安全な位置に家を建てられるのかなど、総合的な判断が必要です。

Q.擁壁でよくあるトラブルは?

擁壁のある土地や家を購入するときは、今回ご紹介した物を含めて次のようなトラブルが発生するリスクがあります。

 

※擁壁のトラブル例

  • 不適格擁壁でそのままでは家を建てられない
  • 補修ややり直し費用で予算オーバーする
  • 建築制限で要望通りの家を建てられない
  • 境界線の位置について隣地所有者と揉める
  • 擁壁の崩壊で損害賠償責任を問われる

 

上記はあくまで一例ですが、擁壁のある土地で家を建てるとき、また完成した後にもさまざまなトラブルが発生する可能性が考えられます。

どのようなトラブルがあるのか、どう対策すべきなのか事前に知り、失敗や後悔を防ぐためにこちらのコラムもごらんください。

〈関連コラム〉

擁壁のトラブル例と対策|劣化や境界をチェックしてトラブルを防止

まとめ

古い擁壁のある土地の購入や建て替えには、注意すべきデメリットやリスクがあるため事前の確認や対策は欠かせません。

しかし、しっかり対策をすれば、相場より費用を抑えて、予算内で理想のマイホームをつくれる可能性もあります。

擁壁のある土地の購入や建て替えを検討するときは、なるべく建築プランや見積もりと同時進行で総合的な判断をしましょう。

私たちCase IT(ケースイット)は、東京都・神奈川県を中心に擁壁のある土地での家づくりをサポートした実績が多数ございます。

古い擁壁のある土地の購入前のチェックや、建築プランづくりから実際の施工までトータルサポートが可能です。

ぜひお気軽にご相談ください。

▼caseIT(ケースイット)へのお問い合せ

監修者情報

石井崇秀/caseIT株式会社代表取締役のプロフィール画像
石井崇秀/caseIT株式会社代表取締役
■ 経歴
別荘や集合住宅、医療施設、商業施設の設計を経て、2016年にcaseITを設立。住宅やリノベーション、店舗デザインを幅広く手がける。
「すべてのデザインに理由がある」を信条に、美しさと機能性を両立した家づくりを実践。土地探しからメンテナンスまで寄り添い、年間5棟限定で丁寧な家づくりを行っている。

■ 資格情報
二級建築士(神奈川県知事登録 第11074号)

Contact

家づくりに関するご相談は何でもお気軽にお問い合わせください。
開く
お問い合わせ