擁壁工事はどこに頼む?擁壁業者選びのポイントを解説

2025/10/20

専門業者による擁壁工事現場

擁壁の補修ややり直しを検討するとき、見積もりや工事をどこに頼むのか迷う方が多いようです。

擁壁工事の依頼先は複数の選択肢があり、現場の状況や予算などさまざまな要素を踏まえて選ぶ必要があります。

そこでこの記事では、擁壁工事の依頼先の選択肢や、業者選びのポイント、考え方などを詳しく解説します。

古くなった擁壁の補修ややり直し、擁壁のある土地の建て替えや新築など、どのようなケースにも役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてください。

 


コラムのポイント

  • 擁壁工事の依頼先は大きく分けると、ハウスメーカーや工務店などの住宅会社・外構や土木などの専門業者の2パターンあります。
  • 擁壁工事の実績や専門性など、実際に依頼先を選ぶときにチェックすべきポイントをご紹介します。
  • 建て替えや新築に伴う擁壁工事の場合、基本的には家を建てる住宅会社にトータルで依頼するのがおすすめです。

 

擁壁工事はどこに頼むべき?

擁壁工事が必要な住宅地

擁壁工事に対応する業者は複数あり、どこに頼むかによって費用や内容などが変わってきます。

 

※擁壁工事業者の選択肢

  • ハウスメーカー・工務店・設計事務所などの住宅会社
  • 外構・エクステリア業者や土木・造成工事会社などの専門業者

 

擁壁工事業者は、住宅会社、専門業者の2つに大きく分けられます。

建て替えや新築などを検討する場合は、ハウスメーカーや工務店、設計事務所などの住宅会社に擁壁工事まで依頼するケースが多いです。

住宅会社に住まいづくりから擁壁工事までまとめて依頼することで、窓口が1つになりスケジュールがスムーズに進むのがメリットです。

しかし、住宅会社は毎回擁壁工事があるわけではなく、擁壁については外部業者に委託しているため費用が多めにかかる傾向があります。

外構やエクステリア業者、土木・造成工事専門の会社は、擁壁工事の専門性が高く、費用を抑えられる可能性がある点が魅力です。

しかし、住宅の建築と別発注になることで、スケジュールや工事内容のマネジメント面でのリスクが発生することもあります。

このように、擁壁工事の依頼先によって強みやメリット・デメリットが異なるため、次の章から選び方のポイントをチェックしていきましょう。

擁壁工事の業者を選ぶポイント

擁壁工事

実際に擁壁工事を業者に依頼するときは、次のポイントについてしっかり検討しましょう。

擁壁工事の実績が豊富で複数の工法に対応しているか

まずは、擁壁工事の実績が豊富にあり、複数の工法に対応している業者を選ぶことが大切です。

例えば、擁壁のある土地での住まいづくりや、補修・やり直しの実績が豊富な業者に相談すれば、状況に応じて複数の施工方法から選択できる可能性が高いです。

複数の工法に対応していれば、予算や状況に合わせて最適なプランを選択でき、費用を抑えることも可能になります。

逆に、擁壁工事の実績がない業者だと、施工方法を選ぶことができず、プランに制限が出たり費用が多くかかったりするリスクがあります。

擁壁工事の相談先を選ぶ際は、必ず施工実績について確認しましょう。

担当者が擁壁について詳しいか

窓口となる業者の担当者が擁壁について詳しく、設計や見積もり確認申請などの手続きから施工まで一貫対応できるかも要チェックポイントです。

例えば、擁壁について詳しくないハウスメーカーや工務店だと、設計や見積もりなどが外注業者に丸投げになってしまい、柔軟で素早い対応が難しいケースもあります。

擁壁の専門業者などを除き、すべて自社職人であるケースは少ないため、協力業者への外注自体は問題ありません。

しかし、窓口となる担当者の擁壁の知識が乏しいと、適切なプランニングやスムーズな進行が難しくなります。

現地調査や見積もりの際に気になることをいろいろ質問してみて、擁壁に詳しい業者や担当者を選びましょう。

家づくりと擁壁工事のバランスを取れるか

新築や建て替えなどどのようなケースでも、擁壁工事単体ではなく家づくりとのバランスが取れた提案ができる業者を選ぶことが大切です。

擁壁の改修ややり直しには複数の工法があり、予算が変わるだけでなく家づくりに影響するケースもあります。

例えば、擁壁と建物の位置が近い場合、工事方法によっては家づくりが制限されてしまうリスクも考えられます。

仮に擁壁工事の費用を抑えられたとしても、使える敷地面積が狭くなったり、家を建てられる範囲が制限されたりしては意味がありません。

新築や建て替えの場合はもちろん、既存擁壁単体の工事でも、将来家を建て替えるときのことを想定して工法などを選択する必要があるのです。

【パターン別】擁壁工事の依頼先の考え方

前述した業者選びのポイントを踏まえて、擁壁工事の依頼先の考え方を2パターンに分けてご紹介します。

ご自身の状況に当てはまるパターンを参考にしてみてください。

擁壁単体工事の場合

擁壁の点検をする専門業者

お住まいにある既存擁壁単体の補修ややり直し工事の場合、工務店やハウスメーカーなどの住宅会社・外構や土木など専門業者など依頼先の選択肢は豊富です。

ご自宅を建てたときの工務店やハウスメーカーは、依頼先として安心感があります。

しかし、擁壁についての専門性に乏しい場合は、対応スピードが遅かったり費用が多めにかかったりする可能性も考えられます。

造園業者やエクステリア業者も、擁壁の施工実績や専門性にはばらつきがあり、規模が大きい工事は外注になるケースも多いです。

土木工事業者は専門性が期待できるのがメリットですが、将来の建て替えなどを想定してバランスの取れた提案ができるかがポイントになります。

擁壁単体工事の場合は、複数の依頼先を比較検討し、前述したポイントを踏まえて依頼先を選びましょう。

擁壁のある土地の建て替え・新築の場合

擁壁のある土地の新築

建て替えや新築に伴う擁壁工事をする場合は、基本的に家を建てる住宅会社にトータルで依頼するのがおすすめです。

前述したように、建て替えや新築の場合は擁壁工事が住まいづくりに大きく影響する可能性が考えられます。

擁壁工事を相見積もりして最安値の業者に依頼すれば、費用を抑えられる可能性はあります。しかし、金額だけで考えると、活用できる敷地面積や建てられる延床面積が狭くなってしまうリスクもあるので注意が必要です。

また、住宅会社にトータルで依頼すれば、建物と擁壁の基礎を一体化させて費用を抑えられるケースもあります。

擁壁も建物の一部として見積もりをすれば、金利が低い住宅ローンに工事費用を組み込めるのも大きなメリットです。

このように、建て替えや新築の場合は住宅会社に依頼するメリットが大きいため、基本的に家づくりと擁壁をセットで考えましょう。

まとめ

擁壁工事の依頼先は複数あり、どこに頼むべきかはさまざまな要素で変わります。

しかし、どのようなケースでも、擁壁工事の実績やノウハウが豊富な業者に頼むのが基本的な考え方になります。

擁壁に熟知している専門家がいる業者なら、状況に合わせた適切な工事方法の提案や予算に合わせたプランニングが期待できるためです。

私たちcaseIT(ケースイット)は設計施工会社として、多くの擁壁工事をお手伝いした実績がございます。

 

擁壁工事が必要な万年米

例えばこちらのケースでは、高低差のある土地の境界に古い万年塀があり、擁壁のつくり直しが必要な状況でした。

万年米は古くから使われてきたコンクリートの仕切りで、現在は擁壁として使うことはできず倒壊のリスクがあります。

このようなケースでは鉄筋コンクリート擁壁でつくり直すのが一般的ですが、大規模な基礎工事が必要となり費用負担が大きくなってしまいます。

 

設計会社による擁壁のやり直し工事

そこで、鉄筋コンクリート製の柱を地中に埋め込み、間に設置するパネルで土圧を支える工法をご提案いたしました。

 

擁壁工事

こちらの工法なら、鉄筋コンクリート擁壁より基礎工事を減らすことができ、コストダウンにつながります。

従来の万年塀と異なり、擁壁として使える強度もあるため、敷地の高低差もしっかり保ってくれます。

このように、擁壁工事では現場状況や予算に合わせて、適切な工法を提案できる専門家に相談することが重要です。

東京都・神奈川県で擁壁のある土地での新築や建て替えをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

▼caseIT(ケースイット)へのお問い合せ

監修者情報

石井崇秀/caseIT株式会社代表取締役のプロフィール画像
石井崇秀/caseIT株式会社代表取締役
■ 経歴
別荘や集合住宅、医療施設、商業施設の設計を経て、2016年にcaseITを設立。住宅やリノベーション、店舗デザインを幅広く手がける。
「すべてのデザインに理由がある」を信条に、美しさと機能性を両立した家づくりを実践。土地探しからメンテナンスまで寄り添い、年間5棟限定で丁寧な家づくりを行っている。

■ 資格情報
二級建築士(神奈川県知事登録 第11074号)

Contact

家づくりに関するご相談は何でもお気軽にお問い合わせください。