アパートを建てるならどこの会社?失敗しない建築会社の選び方とこれからの経営の考え方

2025/9/15

設計施工会社で建てたアパートの外観

相続や土地活用をきっかけにアパート建築を検討する方は依然として少なくありません。

しかし、建築費の高騰や少子高齢化による賃貸需要の減少など、アパートを建てれば入居者で埋まり収益が生まれる状況ではなくなりつつあります。

アパート建築を検討する際は、目的や状況を明確にしたうえで、どの建築会社に相談すべきかを見極めることが重要です。

この記事では、アパート経営を取り巻く市況や建築会社の種類、選び方のポイントについて詳しく解説します。

 


コラムのポイント

  • アパートの建築会社はさまざまな種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。
  • 建築会社を選ぶ前に、アパートを建てる目的を明確にすることでご自身に合う選択をしやすくなります。
  • 人口や賃貸ニーズが減少するこれからの日本で、安定したアパート経営をするための建築会社選びの考え方をご紹介します。

 

アパートの建築会社選びが重要な理由

アパートの建築会社が作成した図面と模型

かつてはアパートで安定収入が得られると考えられていましたが、現在はただ建てれば入居者が集まる状況ではなくなっています。

 

空室率
単身者向け 1.7%
ファミリー向け 1.16%

出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 全国賃貸住宅実態調査2025年度版

 

全国平均で見るとアパートの空室率自体は低水準で推移しているものの、築年数や立地などで差があり、競争力の低い物件は空室リスクが高くなっています。

また、材料費や人件費の高騰、一定水準の断熱性能への適合義務化などを理由に建築コストも高止まりしており、安易にアパートを建てると初期費用の回収が難しい可能性も。

アパートは「どこで建てるか」が重要ですが、以前より建築会社選びの考え方もシビアになっているのです。

次の章から、アパート建築会社の種類や特徴、選び方について1つずつチェックしていきましょう。

アパート建築会社の種類と特徴

大手ハウスメーカーが建てたアパートの玄関

アパート建築に対応できる会社はさまざまで、それぞれ特徴や強みが異なります。

選び方を掘り下げる前に、アパート建築会社の基本的な分類や、それぞれのメリット・デメリットなどをチェックしてみましょう。

どの建築会社が一番良いというわけではなく、オーナー様の目的や土地条件によって向き不向きが変わります。

 

種類 メリット デメリット
大手ハウスメーカー・ゼネコン 信頼性・ブランド力が高く施工品質が安定しており、大規模案件にも対応可能。 コストが高めでプランが画一的になりやすく、自由度を求める場合には不向き。
地域工務店 地域特性に詳しく、柔軟な対応やコスト調整が可能。小回りが利き、土地条件に合わせた提案が得意。 提案力や施工力、アフターサービスに差が出やすい。規模の大きなアパートには対応できないことも。
不動産会社(建築+管理一体型) 建築から管理までワンストップで任せられる。空室対策や入居付けに強く、経営の手間を減らせる。 建築の自由度が低く管理契約が必須になりやすい。自由設計を求める場合には不向き。
建築設計事務所 デザイン性や独自性に優れ差別化を図りやすい。設計の自由度が高く土地条件を最大限活かせる。 施工は別会社に依頼するため、コストや工期調整が複雑。
設計施工会社(ワンストップ型) 設計から施工まで一社で完結し、窓口が一本化されスムーズに計画を進めやすい。コスト・自由度・スピードのバランスが良い。 会社によって力量差が大きい。大規模案件には不向きな場合もある。

 

あくまで傾向ではありますが、上記のように建築会社の種類によって強みやデメリットが異なります。

例えば、賃貸ニーズが高い土地でブランド力を活かしたアパートを建てるなら、大手ハウスメーカーやゼネコンなどに依頼するのも1つの考え方です。

一方、ほかの賃貸物件との差別化を図り、独自性のあるアパートを建てるならプランの自由度が高い設計事務所や設計施工会社の方が向いています。

このように、アパートを建てるオーナー様の考え方によって、どの建築会社が向いているのかは変わってきます。

次の章から、建築会社選びの考え方について確認していきましょう。

建築会社を選ぶ前にアパートを建てる目的を明確に

設計施工会社で建てたアパートの外観

具体的に建築会社選びを始める前に、なぜアパートを建てるのか目的を明確にしておくことが大切です。

アパート建築の目的が曖昧な状態だと、どの建築会社がマッチするのか見極めるのが難しく、具体的なプランづくりも進めることができません。

例えば、所有している土地の活用や節税をしたい場合と、投資として利回りを重視する場合では、理想的な建築プランは変わってきます。

目的を明確にしたうえで、アパート建築の実績や信頼性、プランの自由度や得意とする方向性などを見極めて建築会社を選ぶ必要があるのです。

次の章から、アパートの建築会社を選ぶときにチェックすべきポイントを見ていきましょう。

アパートの建築会社を選ぶときの基本ポイント

建築会社が建てたアパートの外観

実際にアパートの建築会社を選ぶときに、チェックすべき基本的なポイントを1つずつ解説します。

最終的にはトータルバランスが重要になりますが、建築会社を比較検討するときの目安にしてみてください。

アパート建築の実績と提案力

建築会社選びでは、まずはアパート建築の実績と提案力をチェックするのが基本です。

共同住宅であるアパートは一般住宅とは法規制やノウハウが異なるため、実績のある建築会社に相談するのが基本です。

また、立地や敷地条件を活かし、入居者にとって魅力的なデザインのアパートを建てるための提案力も欠かせません。

まずはホームページなどで、アパートの施工事例をチェックしてみましょう。

▼CaseIT(ケースイット)の施工事例

 

耐震性・断熱性など性能とコストのバランス

近年はアパート探しで耐震性・断熱性などをチェックするユーザーも増えており、コストと性能のバランスを提案できる建築会社を選ぶことも重要です。

2025年4月の省エネ基準適合義務化によって、アパートを含めた賃貸住宅も一定の断熱性能を持たせることが必須となりました。

断熱性能が高いアパートは入居者にとって快適性や経済性などのメリットがあり、入居率向上が期待できます。

また、アパートの耐震性もユーザーの注目度が高く、資産としての耐久性にも影響する重要なポイントです。

しかし、耐震性や断熱性を高めると建築コストは増加し、賃料設定を上げる必要があるためバランスが重要になります。

このような性能面のニーズと建築コストのバランスを取るためには、建築会社の技術力や考えをチェックする必要があります。

▼CaseIT(ケースイット)の断熱性能についての考え方

▼CaseIT(ケースイット)の構造についての考え方

 

アフターサービス

アパートは数十年単位で初期投資を回収していく必要があるため、建築会社のアフターサービスも重要なチェックポイントです。

建物の資産価値や入居者の満足度を維持するためには、設備の不具合や塗装メンテナンスなどにしっかり対応できる会社を選ぶ必要があります。

施工費用やデザインなど表面的な部分だけでなく、建てた後のアフターサービスやメンテナンスの考え方についてもいろいろ質問してみましょう。

対応できる構造の種類

建築会社によって対応できる構造の種類は異なるため、チェックすべきポイントの1つです。

例えば、8~10戸前後の比較的小規模なアパートの場合、建築コストと収益性のバランスを取るために木造で建てるケースが多いです。

しかし、より大規模なアパートを建てたり、競合物件との差別化を図ったりする場合、RC造や鉄骨造、SE構法などが適しているケースもあります。

アパートにどの構造が適しているかは状況によって変わりますので、複数の工法に対応できる建築会社に相談しコストとのバランスを考えるのが理想的です。

〈関連コラム〉

家を建てるなら木造と鉄骨造どっちがいい?価格や間取りの自由度などを比較

SE構法のメリット・デメリット|在来工法との違いを比較

 

エリア特性と入居者ニーズの理解

アパートを建てたいエリアの特性や入居者ニーズを把握しており、適切なプランを提案できる建築会社を選ぶことも大切です。

例えば、大学や専門学校などの近くで単身者が多い地域と、企業や住宅地がありファミリーが多い地域では、入居者ニーズは変わってきます。

しかし、競合物件の情報を分析して同じような間取りのアパートを建てるだけでは、価格競争に巻き込まれてしまう可能性が高いです。

これからアパートを建てる場合は、ここまでご紹介した以外のポイントについて検討・提案できる建築会社とプランをつくりこんでいく必要があるのです。

これからのアパート経営を考えた建築会社選びとは

将来を見据えたアパートの間取り

冒頭でもお伝えしたように、人口が減少する日本ではアパートの需要も減っていくため、これからの経営まで含めた提案ができる建築会社を選ぶことが大切です。

不動産データでは分からない賃貸ニーズを想定する

アパートの建築計画では不動産データから入居者ニーズを分析するのが基本ですが、これで分かるのはあくまで過去の実績や相場など限定的なことのみです。

人口が減少すれば当然入居率は減少し、競合物件との価格競争が激しくなり、家賃を下げないと部屋が埋まらない状況になってしまいます。

これからの日本で安定したアパート経営を長く続けるためには、このような状況も踏まえた提案ができる建築会社を選ぶ必要があるのです。

アパート自体の需要は減少傾向しているものの、種類は増え多様化する可能性があります。

例えば東京都心などではファミリー向けのアパートは少なく家賃も高いため、家族が増えたら家を買うか建てるのが一般的でした。

しかし近年は都内のマンションや土地の価格高騰により購入が難しくなり、相場の低いエリアへの移住を検討するケースが増えています。

このように地価が高い都心部では潜在的にファミリー層の賃貸需要が高まっており、ファミリー向けアパートを建てることで長期入居による安定した経営ができる可能性が高くなります。

価値や魅力を高める提案力も重要

また、アパートの価値や魅力を高めて入居率や家賃収入を確保する提案ができる建築会社を選ぶことも重要です。

戸数をなるべく多く確保したほうが空室リスクは軽減できますが、ギリギリの広さや間取りだと価格競争に巻き込まれる可能性が高くなります。

例えば、30㎡×10戸のアパートより、8戸に減らして1戸あたりを広く取りゆとりをつくった方が良いケースも考えられます。

戸数は減っても、ユーザーにとって魅力的な物件をつくることで、相場より家賃を高く設定しても入居者が集まる可能性があるのです。

デザイナーズ賃貸のように相場とかけ離れた賃料では検討から外れてしまいますが、8万円と10万円のように少しの差なら比較検討の範囲に入る可能性が高くなります。

戸数を増やすのか、減らしてゆとりを設けるのか、どちらが良いかはケースバイケースです。

立地や予算などさまざまな条件を踏まえて、このようなバランスを考えられる建築会社に相談することで、理想的なアパートを建てやすくなります。

まとめ

アパートを建てる建築会社を選ぶ際は、予算やデザインだけでなくさまざまなポイントを見極める必要があります。

特に賃貸需要が減少するこれからの日本では、「数十年単位で安定した経営をするためのアパートプランを提案できるか」という点が建築会社選びのポイントです。

私たちCaseIT(ケースイット)は、設計施工会社としてこれまで多くのアパート建築をサポートした実績がございます。

目的や土地の立地、ご予算に合わせたアパートのプランをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

▼caseIT(ケースイット)へのお問い合せ

監修者情報

石井崇秀/caseIT株式会社代表取締役のプロフィール画像
石井崇秀/caseIT株式会社代表取締役
■ 経歴
別荘や集合住宅、医療施設、商業施設の設計を経て、2016年にcaseITを設立。住宅やリノベーション、店舗デザインを幅広く手がける。
「すべてのデザインに理由がある」を信条に、美しさと機能性を両立した家づくりを実践。土地探しからメンテナンスまで寄り添い、年間5棟限定で丁寧な家づくりを行っている。

■ 資格情報
二級建築士(神奈川県知事登録 第11074号)

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