賃貸併用住宅はやめとけと言われるのはなぜ?後悔を防ぐ対策を解説
2025/8/15
家賃収入を得ながら暮らせるのが賃貸併用住宅のメリットですが、「やめとけ」「後悔する」といったネガティブな意見も少なくありません。
実際、賃貸併用住宅にはデメリットやリスクもあり、よく考えずに建てると後悔してしまう可能性もあります。
そこで本記事では、「賃貸併用住宅はやめとけ」と言われる理由や後悔例について掘り下げ、対策もセットで解説します。
コラムのポイント
- 空室期間中のローン負担、住宅ローンを適用できないなど、賃貸併用住宅はやめたほうがいいと言われる理由をチェックしましょう。
- 土地の状況や予算によっては、賃貸併用住宅ではなく自宅のみ建てたほうが良いケースもあります。
- 賃貸住宅・注文住宅両方の施工実績が豊富な専門家に相談し、土地選定段階からアドバイスを受けるのが失敗や後悔を防ぐコツです。
Contents
賃貸併用住宅とは?
賃貸併用住宅とは、自宅の一部に賃貸スペースを設け、家賃収入を得ながら暮らせる住宅のことです。
いわゆる下宿とは異なり、1つの建物に別々の玄関を設けて、独立した居住空間として設計されるのが特徴です。
近年、地価や建築費用が高騰している東京都心などのエリアを中心に、住宅ローンの負担軽減を目的として賃貸併用住宅を建てるケースが増えています。
自宅に賃貸スペースをつくるための初期費用はかかりますが、毎月の家賃収入で住宅ローンの返済負担を減らせるのは大きな魅力です。
ただし、賃貸併用住宅には注意すべきデメリットやリスクもあります。
設計の自由度が下がり自宅部分に不満が残ったり、思ったような家賃収入を得られなかったりして後悔するケースもあるのです。
賃貸併用住宅を検討するときは、メリットだけに注目するのではなく、やめとけと言われる理由やリスクについても把握することが大切です。
賃貸併用住宅はやめとけと言われる理由と後悔例
なぜ「賃貸併用住宅はやめとけ」と言われることが多いのか、具体的なリスクや後悔例について1つずつチェックしていきましょう。
空室期間中のローン返済が負担になる
賃貸併用住宅は空室期間中の家賃収入がなくなるため、ローン返済が家計を圧迫する可能性があります。
仮に賃貸スペースが1室だけだと、入居者の入れ替え期間中は家賃収入がゼロになってしまいます。
賃貸スペースをつくる分建築費用が増加するため、家賃収入をあてにしたローン計画を立てると、空室期間中の返済が大きな負担に。
自宅と賃貸スペースが隣接する賃貸併用住宅では、入居審査を厳格にする傾向があり、一般的な賃貸物件より空室期間が長くなるのも注意すべきリスクです。
住宅ローンが使えない可能性がある
賃貸併用住宅全体に住宅ローンを適用できず、金利が高い事業用ローンを併用せざるを得ない可能性があるのも後悔につながるリスクです。
多くの金融機関は延床面積のうち自宅部分が50%以上であることを条件にしており、設計によっては賃貸併用住宅全体で住宅ローンを組めない可能性があります。
住宅ローン | 事業用ローン | |
金利 | 0.5~1.5%前後 | 3~5%前後 |
返済期間 | 最長35年 | 20年前後(木造の場合) |
住宅ローン控除 | 適用可 | 適用不可 |
事業用ローンは金利や返済期間などの条件が厳しく、住宅ローン控除を適用できないなどのデメリットもあります。
住宅ローンと事業用ローンを併用せざるを得ない場合、返済負担などの面で不利になるため、賃貸併用住宅はやめたほうがいいと言われることが多いです。
アパートのように収益性を高められない
一般的なアパートのように収益性を高められない点も、賃貸併用住宅はやめたほうがいいと言われる理由の1つです。
前述したように賃貸併用住宅全体で住宅ローンを組む場合、賃貸スペースの面積が限られるため家賃収入には限りがあります。
また、敷地や予算に余裕があり部屋数を増やせる場合でも、自宅スペースを確保する分収益性は低下します。
賃貸需要が高く収益が見込める土地をお持ちの場合は、賃貸併用住宅ではなく一般的なアパートを建てたほうが良いケースも。
設計の自由度が低くなる
賃貸併用住宅は、共同住宅扱いとなることで避難経路や階数制限などの建築規制が増え、間取りやデザインなど設計の自由度が低くなる場合があります。
結果として、自宅部分の快適性や理想の住まいづくりを妥協せざるを得ないこともあります。
入居者とのトラブルが発生しやすい
賃貸併用住宅では入居者と同じ建物内で生活するため、騒音や生活音が気になるなどのトラブルが起こりやすくなります。
賃貸部分が1階だと入居者が見つかりにくく、上階にすると足音が気になるなど、配置による課題もあります。
途中でやめるのが難しい
賃貸併用住宅を建てると、途中で経営をやめるのが難しいのも注意すべきリスクです。
借地借家法では入居者側の権利が強く保護されているため、正当な理由が無いと大家側都合での解約や退去は難しいです。
また、賃貸併用住宅を建てるためにかかった初期費用を家賃収入でまかなう計画を立てると、ローンを返済するために賃貸経営を続けなければなりません。
初期費用と集客力のバランスが難しい
賃貸経営は建てる場所が重要で、土地購入にかかる初期費用と集客力のバランスが難しいのも後悔につながりやすいポイントです。
集客力や賃料相場を考えると駅の近くなど賃貸需要が高いエリアが理想的ですが、土地相場も高いため初期費用は多めにかかります。
土地に費用をかけすぎると建物に不満が残ったり、前述したローン返済の負担が大きくなったりするリスクがあります。
また、賃貸物件として集客力が高いエリアは、広い土地の確保が難しい、日当たりが悪い、プライバシー性が低いなど、理想的な住環境ではないケースも多いです。
賃貸併用住宅の失敗・後悔を防ぐ対策
ここまで見てきた賃貸併用住宅のデメリットやリスクを踏まえて、失敗や後悔を防ぐ対策をチェックしていきましょう。
自宅のみで建てることも検討する
賃貸併用住宅を検討するときは、自宅のみで建てるパターンも比較してみましょう。
安定した家賃収入が期待できず賃貸併用住宅のメリットが小さい場合は、費用を抑えて自宅のみ建てたほうが良い可能性もあります。
また、相続などで収益性が高い土地を持っている場合は、一般的なアパートを建てて自宅は別にした方が良いケースも考えられます。
賃貸併用住宅は目的ではなく、あくまで手段の1つとして、さまざまな選択肢を比較検討してみましょう。
早めに住宅ローン計画を立てる
賃貸併用住宅を建てる場合は、なるべく早めに住宅ローン計画を立てることも大切なポイントです。
住宅ローンの申し込み条件や審査基準は金融機関によって異なるため、賃貸併用住宅全体で住宅ローンを組めるのか確認しておきましょう。
自宅部分のみ住宅ローンを組み、賃貸スペースは事業用ローンを併用する場合は、自己資金のバランスを考えておくことも重要です。
例えば、金利が高い事業用ローンを組む賃貸部分になるべく自己資金を多めに入れて、住宅ローンを中心に組むことで返済負担を抑えやすくなります。
住宅ローンの仮審査はいつでも申し込めるため、なるべく早い段階から計画を立てておきましょう。
空室期間中の資金繰りを考える
入居者の入れ替えなど空室期間中でも、ローン返済できる資金繰りを考えておくのも後悔を防ぐポイントです。
前述したように空室期間中は家賃収入が途絶えてしまいますので、自己資金だけでローンを返済できるように準備しておく必要があります。
基本的には、普段の収入だけで返済できるローン計画を立てるのが理想的です。
また、設備の修理やメンテナンス費用などが発生したときのために、運用資金を積み立てておく計画も必要です。
賃貸と戸建て住宅両方の実績がある会社に相談
賃貸併用住宅に対応できる住宅会社はたくさんありますが、賃貸と戸建て住宅両方の実績がある会社に相談しましょう。
賃貸併用住宅は一般住宅とは異なる設計や工夫が求められるため、それぞれのノウハウを持つ専門家のアドバイスを受けるのが理想的です。
そもそも賃貸併用住宅が向いているのか、建てるならどのような間取りが良いのかなど、経験に基づくアドバイスを受けることで失敗や後悔を防ぎやすくなります。
できれば、土地選定の段階から専門家の意見を聞き、賃貸併用住宅を建てるべきか否かの判断をサポートしてもらうのがおすすめです。
私たちcaseIT(ケースイット)は、設計施工会社として多くの賃貸住宅や注文住宅づくりをサポートした実績がございます。
土地選定からのサポートやアドバイスも可能ですので、東京・神奈川で賃貸併用住宅をご検討の際はぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
賃貸併用住宅にはメリットもあるものの、デメリットやリスクも多く、よく検討せずに建てると後悔する可能性が高いです。
良い部分だけ見るのではなく、メリットとデメリットを比較検討するのが、賃貸併用住宅の失敗や後悔を防ぐコツです。
なるべく賃貸住宅・注文住宅両方に詳しい専門家に相談し、適切なアドバイスを受けながら理想のプランについて考えてみましょう。
私たちcaseIT(ケースイット)は、お客様のご要望をお伺いし、理想的な住まいづくりをご提案する設計施工会社です。
賃貸住宅・注文住宅どちらも数多く手がけた実績がございますので、土地探しや間取りのことなどなんでもお気軽にご相談ください。