傾斜地の家づくりの後悔を防ぐポイント|メリット・デメリットと対策を解説

2025/6/30

高台の傾斜地

マイホームを建てるために見晴らしや日当たりが良い土地を探していると、傾斜地に行き当たるケースが多いです。

傾斜地にはさまざまなメリットがある反面、造成工事や地盤改良などの追加費用、災害による崩壊リスクなどデメリットが気になる方も多いようです。

そこでこの記事では、傾斜地に家を建てるメリット・デメリットと、失敗や後悔を防ぐための対策を分かりやすく解説します。

傾斜地の土地選びや家づくりに必要な基礎知識をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

 


コラムのポイント

  • 傾斜地の家づくりでは、建築費用の増加やプランの自由度の低下、災害リスクなどのデメリットがあります。
  • 傾斜地のデメリットにうまく対策できれば、コストパフォーマンスが高い理想の住まいを建てられる可能性が高くなります。
  • 失敗や後悔を防ぐためには、傾斜地の家づくりの実績が豊富で、提案力が高い会社に相談するのが効果的です。

 

傾斜地とは

新築を建てる前の傾斜地

傾斜地とは、地面が平らではなく勾配が付いている土地のことを指します。

建築基準法や条例などでは「がけ」「斜面」として定義されていることもありますが、傾斜地の明確な基準はありません。

一般的な一戸建ては平坦な土地に建てられることが多く、傾斜地は家づくりに向いていない印象を持つ方が多いです。

しかし、傾斜地にはメリット・デメリット両面があり、うまく土地を選んだり家づくりに工夫したりすれば、費用を抑えて理想的なマイホームを建てられる可能性もあります。

実際、傾斜地は山間部など不便な場所だけでなく、都市部の利便性が高いエリアで見られることも多いです。

ただし、傾斜地のデメリットを把握せずメリットだけで選んでしまうと、実際に暮らし始めてから後悔するリスクもあります。

次の章から、傾斜地の家のデメリットやよくある後悔例を1つずつチェックしていきましょう。

傾斜地の家のデメリット&よくある後悔例

傾斜地の大規模造成工事

傾斜地に家を建てるデメリットと、よくある後悔例をピックアップしてご紹介します。

失敗や後悔を防ぐためのポイントは後半で解説しますので、ここではどんなデメリットやリスクがあるのか覚えておきましょう。

付帯工事費が高額になりやすい

傾斜地に家を建てる場合、建物の本体工事費以外にかかる付帯工事費が高額になりやすいのがデメリットです。

 

※傾斜地の付帯工事の例

  • 土地を平らにするための造成工事
  • 地盤改良工事
  • 擁壁の新築や補修工事

 

傾斜地の状況によっては上記のような付帯工事が必要になることがあり、平坦な土地より費用が多めにかかる可能性があります。

例えば、傾斜が付いた状態では家を建てられないため、切土や盛土で平らにするための造成工事費用がかかります。

また、盛土をした場合は地盤改良工事が必要になることが多く、傾斜の角度によっては地盤までの距離が遠く、追加費用がかかるケースも。

高低差の大きいがけがある場合は、斜面が崩れないように擁壁をつくったり補修したりする必要があります。

〈関連コラム〉

擁壁のある土地はやめた方がいい?メリット・デメリットや後悔を防ぐポイントを解説

建築制限により家づくりの自由度が低くなる

傾斜地は法規制の対象になるケースもあり、建築制限を受けて理想の間取りを実現できない可能性もあります。

 

※傾斜地に関係する法令の例

  • 建築基準法
  • 宅地造成等規制法
  • 自治体のがけ条例

 

傾斜地に関係する法令は上記のようにいくつかの種類があり、家を建てる範囲や間取りが制限されるケースがあります。

一般の方が全ての法令をチェックするのは難しく、傾斜地を先に購入してしまうと思ったような家を建てられず後悔するリスクが高いです。

災害による被害を受けるリスクがある

平坦な土地に比べると、傾斜地は災害による被害リスクが高いのも注意すべきデメリットです。

傾斜地ではがけ崩れや地滑りなどの土砂災害が発生しやすく、一定の勾配や高さを超える場合は急傾斜地崩壊危険区域に指定されることもあります。

急傾斜地崩壊危険区域の場合は自治体が崩壊防止工事を行う場合もありますが、土地自体の災害リスクが高いことには変わりありません。

傾斜地を購入して家を建てる場合は、土地選びの段階で災害リスクをチェックする必要があります。

住宅会社や建築プランが限られる

傾斜地は平坦な土地とは異なる工事・工夫が求められるため、家を建てられる住宅会社や建築プランが制限されるケースもあります。

例えば、平坦な土地に建てる前提でプランがつくられている規格住宅などは、傾斜地には対応できないケースが多いです。

また、傾斜地での家づくりの実績がない施工会社だと、理想的な間取りを実現できない可能性もあります。

土地自体の利便性が低く暮らしにくい

地域全体が傾斜地になっていて高低差が大きい場合、生活の利便性が低く実際に暮らし始めてから後悔するリスクもあります。

坂道が多いと徒歩や自転車の移動が大変で、毎日の生活で体力的な負担や不便を感じる可能性が高いです。

買い物スポットや幼稚園などが坂の下にある場合、荷物を持っての移動やお子さまの送り迎えが負担になります。

傾斜地の家にはメリットもある

傾斜地の高台から見える景色

前述したようなデメリットだけでなく、傾斜地の家づくりにはメリットもあります。

メリットを活かした家づくりができるように、1つずつチェックしていきましょう。

相場より土地代が安い

傾斜地は平坦な土地より安く販売されていることが多く、取得費用を抑えられるのが大きなメリットです。

傾斜地には前述したようなデメリットやリスクがあるため購入希望者が少なく、販売価格が相場より安く設定されることが多いのです。

土地選びやプランの工夫でデメリットに対策できれば、コストパフォーマンスが高いマイホームを建てられる可能性が高くなります。

日当たりや眺望が良い

高台にある傾斜地は、一般的な土地より日当たりや眺望が良いのも魅力的なポイントです。

周囲の建物と高低差があるため日陰になりにくく、南向きの傾斜地なら遠くまで眺望を楽しむことができます。

日当たりが良い庭をアウトドアリビングとして活用したり、窓からの眺望を楽しんだり、傾斜を活かした家づくりの選択肢が広がります。

高低差を活かした間取りや半地下をつくりやすい

傾斜地の高低差をあえて活かし、スキップフロアや半地下などの間取りを取り入れて暮らしやすい家を建てる方法もあります。

例えば、土地と前面道路の高低差を活かして半地下の掘り込みガレージをつくれば、容積率の緩和を受けて敷地面積を有効活用できる可能性があります。

また、高低差を活かしたスキップフロアは、開放感やデザイン性を高める間取りアイデアとして人気です。

造成工事で完全に平らな土地にするのではなく、高低差を活かすことでオリジナリティや利便性の高い住まいをつくれるのは魅力的なポイントですね。

傾斜地の家づくりの後悔を防ぐポイント

傾斜地の家づくりの模型

前述した傾斜地のデメリットに対策して後悔を防ぎ、メリットを活かした家づくりをするためのポイントをご紹介します。

家づくりのトータル費用を把握する

傾斜地の家づくりを検討する際は、土地取得費用と建築費用のトータルを把握することが大切です。

相場より安い傾斜地を購入できても、造成工事や地盤改良工事など追加費用がかかると予算オーバーで後悔するリスクが高くなります。

逆に言えば、追加費用がかかったとしても、予算内に収まる土地を選ぶのが成功のポイントということです。

傾斜地の価格だけを見て先行購入するのではなく、家づくりのプロに相談してトータル費用を把握しましょう。

土地選びとプランづくりを同時進行する

傾斜地の土地選びだけを先行するのではなく、建物や外構まで含めたプランづくりを同時進行することも後悔を防ぐポイントです。

前述したように、傾斜地やがけのある土地は法規制によって建築プランや外構計画が制限されることがあります。

土地選びの段階でプロに物件を見てもらい、どのような家を建てられるのか事前に把握することで失敗や後悔を防ぐことができます。

先ほど挙げたトータル費用の把握と同じように、傾斜地の購入を決める前に専門家に相談してアドバイスを受けましょう。

ハザードマップで災害リスクを確認する

災害リスクが高い傾斜地を回避するために、国や自治体が公開しているハザードマップを確認しましょう。

ハザードマップでは、地震や津波などにくわえて、土砂災害のリスクが高いエリアを地図上で確認することができます。

 

ハザードマップの土砂災害警戒区域

出典:ハザードマップポータルサイト

例えば上のハザードマップの例のように、崩壊・土石流・地すべりなどのリスクが高いエリアを事前に調べられます。

傾斜地に限らずハザードマップは災害リスクを確認するのに効果的ですから、土地探しで積極的に活用しましょう。

傾斜地の家づくり実績が豊富な専門家に相談する

ここまでご紹介してきたように、傾斜地の家づくりの後悔を防ぐためには、実績が豊富な専門家のアドバイスが欠かせません。

仮に注文住宅の施工実績が多くても、傾斜地の経験が少ない会社だと専門的なアドバイスがもらえず、後悔するリスクが高くなります。

なるべく傾斜地の家づくりの実績が豊富な会社に相談し、土地選びから間取りづくりまでプロ目線のアドバイスや提案を受けましょう。

まとめ

傾斜地の家づくりにはデメリットやリスクがありますが、事前に対策を取れば失敗や後悔を防ぐことは可能です。

また、傾斜地にはメリットもありますので、うまく活用すれば平地にはない魅力やオリジナリティのある注文住宅を建てることもできます。

良い面・注意すべき面を把握し、傾斜地での家づくりも1つの選択肢として検討してみてください。

私たちcaseIT(ケースイット)は、設計施工会社として傾斜地の家づくりを多数サポートしてきた実績がございます。

土地に合わせた住まいづくりのご提案はもちろん、候補の物件のチェックやアドバイスもお手伝いいたします。

横浜市青葉区を中心に東京都内のご相談も受け付けていますので、ぜひお気軽にお声がけください。

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