店舗併用住宅・店舗兼用住宅を建てるメリット・デメリット|間取りの考え方や施工実例も紹介

2025/4/15

店舗併用住宅の外観

一軒の建物内に住居と店舗が共存する店舗併用住宅や兼用住宅は、個人事業を営む方や独立を検討している方にとって有力な選択肢の1つです。

ただし、店舗併用住宅・店舗兼住宅にはメリット・デメリット両面があり、しっかり理解したうえで建てないと後悔してしまうリスクもあります。

そこでこの記事では、店舗併用住宅・店舗兼住宅のメリットとデメリット、間取りづくりで考えるべきポイントや施工実例をご紹介します。

 


コラムのポイント

  • 店舗併用住宅と店舗兼用住宅の大きな違いは、建物の中で店舗と住宅を行き来できるかどうかです。
  • テナント料や通勤時間がかからず、仕事とプライベートを両立しやすいなど、店舗併用住宅と兼用住宅のメリットをご紹介します。
  • 一般的な注文住宅より諸費用が多めにかかる傾向があるため、資金調達やローン返済計画などをしっかり考えることが大切です。

 

店舗併用住宅と店舗兼用住宅の違いは?

店舗併用住宅の内装

店舗併用住宅と店舗兼用住宅の基本的な違いは、建物の中で店舗と住宅を行き来できるかどうかという点です。

 

  • 店舗併用住宅:建物の中で店舗と住宅を行き来できない
  • 店舗兼用住宅:建物の中で店舗と住宅を行き来できる

 

また、建築基準法上の扱いによって、次のような違いもあります。

 

店舗併用住宅 店舗兼用住宅
住居専用地域での建築 建てられない 条件により可
店舗部分の賃貸 可能 不可

 

それぞれ建てられる地域や、店舗部分を他人に賃貸できるかなどの違いがあり、どちらが向いているかはケースバイケースです。

店舗と住居の使い勝手やワークスタイルに加えて、上記のような違いも踏まえて店舗併用住宅・店舗兼用住宅どちらが良いか考えてみましょう。

店舗併用住宅・店舗兼住宅を建てるメリット

店舗兼用住宅の理容室部分

自宅と店舗を別にする場合と比較して、店舗併用住宅や店舗兼住宅には次のようなメリットがあります。

テナント料がかからない

店舗併用住宅や店舗兼住宅で、自宅と店舗を1つの建物にすることで、別途物件を借りるためのテナント料がかからないのは大きなメリットです。

業種や店舗の規模によってはテナント料が高額になるケースも多く、自宅で事業を営むことで固定費を削減し、利益を確保しやすくなります。

通勤時間がかからず家族との時間を両立しやすい

自宅の中に店舗を設けることで通勤時間がなくなり、家族との時間を確保したり、仕事と家事や育児を両立しやすいのもメリットの1つです。

自宅の近くにちょうど良い立地の店舗が見つからない場合、通勤時間が長くなり生活の負担になるケースも多いです。

店舗併用住宅や店舗兼住宅なら、いつでも仕事とプライベートを切り替えて両立しやすくなります。

業態やワークスタイルに合わせた間取りをつくれる

自宅の一部を店舗にすることで、業態やコンセプト、ワークスタイルに合わせて自由に間取りをつくれるのも大きなメリットです。

賃貸物件でもある程度店舗のレイアウトは変えられますが、建物の広さや間取りによってある程度制限されます。

大きな窓で店舗の視認性や快適性を高めたり、自宅との距離感を調整したりできるため、より仕事とプライベートを両立しやすくなります。

店舗併用住宅・店舗兼住宅を建てるデメリット

店舗併用住宅の店内

店舗と自宅を同じ建物にすることで、次のようなデメリットもあるため注意しましょう。

具体的な対策は次の章で解説しますので、ここではまずどんなデメリットやリスクがあるのか覚えておいてください。

一般的な住宅より初期費用が多めにかかる

店舗併用住宅や店舗兼住宅は、自宅スペースにくわえて店舗の床面積や設備が必要になるため、一般的な住宅より初期費用が多めにかかる点に注意が必要です。

前述したように店舗のテナント料がかからないため、長期的にはコストメリットがありますが、自己資金やローンの要件はややハードルが高くなります。

建てられるエリアに制限がある

自宅と店舗を一緒にする場合は、業種や規模によっては建てられるエリアに制限が出るのも注意すべきデメリットです。

例えば、第一種低層住居専用地域は一番制限が厳しく、原則的に店舗併用住宅は建てることができません。

店舗兼住宅についても、延床面積の1/2以上が住居かつ、店舗の床面積は50㎡以下、さらに限られた業種しか建てられないなど、厳しい制限がかけられています。

ほかの用途地域も同じように制限が設けられていて、業種や規模によっては建てられない可能性があります。

近隣のクレームに注意が必要

住宅地に店舗併用住宅や店舗兼住宅を建てる場合、近隣からのクレームが入るリスクもあります。

例えば飲食店の場合、換気扇から出る料理のニオイや騒音などが原因で、近隣からクレームが入るケースが多いようです。

特に深夜営業する店舗の場合、住宅地だとクレームが入るリスクが高くなるため注意が必要です。

売却が難しい

店舗併用住宅や店舗兼住宅は、オーナーのライフスタイルや事業形態に合わせて間取りをカスタマイズするため、売却が難しい点もデメリットです。

購入検討者が同じ業種の事業者に絞られてしまうため、買手を見つけるハードルも高くなります。

店舗併用住宅・店舗兼住宅づくりで考えるべきポイント

店舗兼用住宅の建築模型と間取り図

ここまで見てきたメリット・デメリットを踏まえて、店舗併用住宅や兼用住宅を建てる際に考えるべきポイントをまとめました。

資金調達やローンの返済計画

店舗併用住宅・店舗兼用住宅は、どちらも一般住宅より費用が多めにかかる傾向がありますので、自己資金をどれくらい用意するのか、どこから借り入れてどのように返済するのか計画を立てることが大切です。

例えば、店舗併用住宅や兼用住宅でも、一定の条件を満たせば住宅ローンを組める可能性があります。

ただし、条件にあてはまらず住宅ローンを組めない場合は、事業用ローンなどを利用する必要があります。

利用するローンによって金利や返済期間などが変わることもあるため、無理のない返済計画をシミュレーションしましょう。

また、ローンによる資金調達にくわえて、国や自治体の補助金を活用して初期費用を抑えられるケースもあります。

新築住宅を対象とした補助金制度や、新規事業をサポートする国の助成金などをチェックしてみましょう。

目的やワークスタイル

そもそも、店舗併用住宅や店舗兼住宅を建てる目的や、理想とするワークスタイルを明確にしておくことも大切です。

例えば、通勤時間を無くして家族との時間を両立したい、賃貸店舗ではつくれない間取りやレイアウトを実現したいなど、目的によって適切な間取りは変わってきます。

また、どのような業態でどれくらいの売上を確保したいのかによって、立地や店舗スペースの床面積なども変動します。

極端な例ですが、明確な理由がない場合は、自宅は単体で建てて店舗をほかで借りたほうが良いケースもあり得るのです。

なぜ店舗併用住宅や店舗兼用住宅を建てるのか、目的を明確にして、事業としての安定性や暮らしやすさについて考えていきましょう。

店舗と居住スペースの距離感と動線

お客様利用する店舗と、家族が暮らす居住スペースの距離感や動線も、しっかり考えるべきポイントです。

例えば、店舗と居住スペースの出入り口が近くて動線が交錯すると、家族の行き帰りが見えてしまい生活感につながる可能性があります。

また、店舗とリビングや子供部屋などの居室が近いと、接客中に生活音が気になってしまうリスクもあります。

店舗と居住スペースが近いと、仕事とプライベートを両立させやすいのはメリットです。

しかし、近すぎると店舗に悪影響を及ぼすこともあるため、業態やコンセプトに合わせてちょうど良い距離感を考えることが大切です。

業種に合わせた集客力が見込める立地

店舗併用住宅や店舗兼用住宅は、住宅としての居住性にくわえて、事業として成立させるための集客力が見込める立地を選ぶことも大切です。

せっかく理想の店舗をつくっても、そもそも商圏人口が少なく事業として成立しなければ意味はありません。

しかし、集客力だけを重視して立地が良い土地を選ぶと、初期費用が高額になり、暮らしやすさの面では不満を覚える可能性も考えられます。

店舗としての集客力、住居としての居住性両面をチェックし、バランスの取れた立地を探してみましょう。

防犯性を高める

最近はキャッシュレス決済の普及が進んでいますが、店舗で現金や高価な商品を扱う場合は防犯性についてもこだわりましょう。

また、店舗併用住宅は、同じ建物内でも仕事中は住居部分が留守になるため、防犯性を高める必要があります。

特に一戸建ては店舗や共同住宅より空き巣に狙われやすい傾向があり、防犯対策は欠かせません。

こちらのコラムで空き巣に狙われやすい家の特徴や対策について詳しく解説しています。

〈関連コラム〉

空き巣が嫌がる家づくりのポイント|新築一軒家で取り入れるべき防犯対策を解説

店舗兼住宅の間取り実例

最後に、ケースイットがお手伝いした、店舗兼住宅の間取り実例をご紹介します。

 

店舗兼用住宅の実例外観

地域で長年愛されてきた理容室を再構築した、店舗兼住宅の間取り実例です。

 

店舗兼用住宅のヘアサロン

昔から通っていただいている常連客の方のために、懐かしさや心地よさを大切にしつつ、新しくヘアサロン兼住宅としてつくり直すことがテーマでした。

 

室内で行き来できる併用住宅ですが、住居部分の玄関はヘアサロンと別で設けて、動線が交わらないようになっています。

 

店舗兼用住宅の間取り図1F

店舗兼用住宅の間取り図2F

▼西新井の家の詳細を見る

 

まとめ

店舗併用住宅と店舗兼用住宅にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが向いているかはケースバイケースです。

また、店舗としての集客力や収益性、住居としての暮らしやすさや居心地の良さなど、一般住宅とは異なるポイントへの配慮も必要となります。

店舗併用住宅・店舗兼用住宅を検討する際は、なるべく実績が豊富なプロの意見やアドバイスも参考にしましょう。

私たちcaseIT(ケースイット)は、お客様のご要望をお伺いし、理想的な住まいづくりをご提案する設計施工会社です。

店舗併用住宅・店舗兼用住宅も数多く手がけた実績がございますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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