開放感のある家のメリット・デメリットと考え方のポイント|開放的な空間がある施工実例も
2025/2/15
雑誌やテレビで見かける素敵な住まいは、明るく開放感たっぷりで居心地が良い空間に見えますよね。
しかし、実際にマイホームを建てるとなると、同じように開放感のある空間をつくるのは難しいと感じる方が多いようです。
また、大きな窓や吹き抜けで開放感を高めると、プライバシー性や冷暖房効率などのデメリットも気になるところ。
そこでこの記事では、住まいに開放感のある空間をつくるメリットとデメリット、開放感のある家づくりのポイントについて詳しく解説します。
開放的な空間を取り入れた実際の施工実例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
コラムのポイント
- 開放感のある家には、仕事や生活を忘れてリラックスできる、家族や友人を呼んで楽しい時間を過ごせるなどさまざまなメリットがあります。
- プライバシー性や冷暖房効率の低下、窓から見える風景の変化や庭の手入れが必要など、開放感のある家のデメリットも把握しましょう。
- 窓の配置や天井の高さなど、開放的な空間のある家づくりのポイントを分かりやすく解説します。
開放感のある家とは?
一口に開放感のある家と言っても、間取りや内装デザイン、窓の配置や周辺環境などさまざまな要素が影響し、感じ方も人によって違います。
大きな窓を付けたり、吹き抜けや勾配天井にしたりしても、開放感のある家を建てられるとは限りません。
例えば、大きな窓から視線が抜ける開放的な家の間取りをそのまま真似しても、周辺環境が違うと同じ雰囲気にはならないこともあります。
リビングに大きな窓を付けても、目の前が隣の家の壁だと開放感は得られませんよね。
窓から入る自然光の角度や見える景色、間取りや家具の配置など、いろいろな要素の積み重ねで開放的な空間が生まれるのです。
また、開放的な空間をつくることにはメリット・デメリット両面があり、把握したうえで住まいづくりに取り組むことが大切です。
住まいに開放的な空間をつくるメリット
実際に開放的な空間を住まいに取り入れることで、次のようなメリットが生まれます。
いつまでも居たくなる居心地の良い空間になる
開放的な空間のメリットとして、いつまでも居たくなるような居心地の良さが挙げられます。
「開放感」という言葉には、「制約や束縛から自由になり心地よい状態」という意味があります。
例えば、天井が高く開放的なホテルのロビーやレストランなどは、いつまでも居たくなるような魅力がありますよね。
住まいも同じように、間取りやデザインに工夫することで、居心地が良い開放的な空間をつくることができます。
開放的な空間を住まいにつくることで、仕事や家事などの生活を忘れて心からリラックスできるのは大きなメリットと言えるでしょう。
家族や友人と楽しい時間を過ごしやすい
開放的な空間は実際の床面積より広々とした感覚があり、家族や友人で集まったときも閉塞感を覚えにくく楽しい時間を過ごせるのもメリットです。
例えば、開放的なリビングがある住まいは、自然と家族が集まりコミュニケーションが生まれやすくなります。
親戚や友人を呼んだときに「居心地が良いな、また来たいな」と感じてもらえるのはうれしいですし、おもてなしにもつながりますね。
開放感のある家のデメリット
大きな窓や吹き抜けなどの間取りで開放感のある家をつくる場合、次のようなデメリットもあるため注意が必要です。
失敗を防ぐためのポイントや対策は次の章で解説しますので、ここではどんなデメリットがあるのか把握しておきましょう。
プライバシー性が低下しやすい
窓による視線抜けで開放的な空間をつくる場合、外からの視線が入りプライバシー性が低下しやすいのがデメリットです。
特に東京23区内など周辺の建物が近いエリアでは、大きな窓を付けても一日中カーテンを開けられず、思ったような効果を得られないケースも多いです。
また、敷地に余裕がある場合でも、外から見られているような感覚が気になり、結局カーテンを開けられない可能性も考えられます。
外からの視線は図面だけでは分からない要素なので、実際に暮らし始めてから失敗に気づくリスクがあります。
窓から見える景色が変わってしまうリスク
窓から視線が外に抜ける開放的な空間は魅力的ですが、お庭や周辺の環境に左右される点も注意すべきデメリットです。
例えば、リビングからお庭に視線が抜ける窓を付ける場合、草むしりや剪定をしないと荒れてしまい、室内からの景色が残念に見えてしまいます。
開放感や眺望を重視してこだわりの広い庭をつくると、その分掃除やメンテナンスの手間もかかり、プロに依頼する場合は費用もかかります。
また、周辺に新しい建物ができて、窓からの景色や日当たりが変化してしまうリスクも。
室内から外が良く見えるということにも、デメリットがあるため注意が必要です。
冷暖房効率が悪くなる
開放感を高めるための大空間や大きな窓は、冷暖房効率が低下する原因になりやすいのもデメリットの1つです。
吹き抜けや間仕切りのない大空間をつくると、空気の体積が増えるため冷暖房のスイッチを入れてから適温になるまで時間がかかります。
また、窓のガラス面は壁面より熱損失が大きいため、開放感を高めるためにサイズを上げると冷暖房効率の低下を招く可能性があります。
開放感のある家づくりのポイント
実際に開放感のある家づくりをする際は、デメリットに対策し居心地の良い空間に仕上げるために、次のポイントにこだわりましょう。
周辺環境や実際の暮らしをシミュレーションする
具体的に間取りについて考える前に、まずはマイホームを建てる土地の日当たりや周辺環境を確認しましょう。
土地の広さや日当たり、周囲の景色によって、理想的な間取りや窓の配置は変わってきます。
周辺環境を確認せず、間取り図だけで広い部屋や大きな窓をつくってしまうと、イメージしたような開放感のある家にならない可能性があります。
前述したように大きな窓を付けるとプライバシー性が低下することがあり、隣の家や通りの視線が気になりカーテンを開けられないケースも少なくありません。
土地に合わせた住まいづくりをして、間取りプランができたら実際の暮らしをリアルにシミュレーションして確認することが大切です。
窓の配置と壁の量のバランスを考える
大きな窓のある家は開放的に見えますが、サイズや配置、壁の量とのバランスも重要です。
ただ視線が抜ける場所に大きな窓を付けるだけでなく、壁との対比で贅沢に見える空間に仕上げることが大切です。
例えば、部屋全体に大きな窓を付けるより、両側は壁にして正面に視線が抜ける窓を配置した方が、主役となり開放的に感じられることもあります。
壁と窓の対比によってそれぞれが引き立ち、視線が誘導されてより開放的に見せることができるケースもあるのです。
また、窓から見える景色も考えて、サイズや配置を考えることも大切です。
窓から外の景色をすべて見せるより、絵画や写真のように構図を考えて切り取った方が、素敵に見えることもあります。
単純に大きな窓で視線抜けを良くしたり、自然光を取り入れたりするだけでなく、全体のバランスを考えてみましょう。
天井の高さを切り替える
開放的な家づくりでは、天井の高さにこだわることが大切ですが、全体を高くするのではなく、部分的に切り替えるのがポイントです。
普通の天井高と勾配天井や吹き抜け部分の対比を見せることで、より開放的な雰囲気に感じることができます。
例えば、一般的な天井高の廊下から、吹き抜けや勾配天井のリビングに入ると、より開放感が強調されます。
勾配天井や吹き抜けでお部屋全体の天井を高くするのも1つの考え方ではありますが、部分的に切り替えてストーリーをつくることも意識してみましょう。
建築制限との兼ね合いを考える
土地に建築制限がかかっている場合は、法規制をクリアしたうえで開放感のある家をつくる工夫も求められます。
例えば防火地域・準防火地域などに該当する土地では、窓の位置やサイズに制限を受けることがあります。
窓で開放感を高めようとしても、思ったような位置に設置できないケースもあるのです。
しかし、建築制限のある土地でも、家を建てる位置や建材の選定など工夫次第で、イメージ通りの家を建てられる可能性もあります。
施工実績が豊富で法規制について詳しく、柔軟な対応ができる設計者を見つけて、よく話し合うことが大切です。
家具もトータルコーディネートする
開放感のある家づくりでは、部屋に置く家具のことまで考えて全体のバランスを取ることも大切です。
せっかく間取りやデザインにこだわっても、家具のサイズや配置で圧迫感が出てしまうケースもあります。
また、開放感だけを考えて大きな窓を付けると、壁の量が減り理想的な位置に家具を配置できないことも少なくありません。
間取りづくりの段階でどんな家具を置くのかまで想定し、トータルコーディネートを心がけましょう。
case IT(ケースイット)は、家具と内装を含めたホームスタイリングもお手伝いしていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
開放的な空間がある施工実例
最後に、開放的な空間を取り入れた注文住宅の施工実例をご紹介します。
実例①
1階はクリニック、2階が住居の施工実例です。
壁に囲まれた複数のコートをつくって、視線抜けや柔らかい自然光を取り入れるなどの工夫で開放感のある空間に仕上げたお住まいです。
住まいの中心にあるコートはLDKにつながっていて、天気が良い日は外に出て開放的に過ごすことも可能です。
こちらに間取り図や全体の写真も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
こちらのコラムでは、中庭やコートのある間取りづくりについて詳しく解説しています。
〈関連コラム〉
中庭のある家の間取り実例|メリット・デメリットや間取りづくりのポイントも解説
実例②
1階はオフィス、2階が住居の施工実例です。
2階リビングはスキップフロアと窓からの眺望を楽しめる開放的な空間に。
右側のバルコニーからは高台の眺望を楽しむことができ、左側はコートとして視線を遮りつつ自然光を取り入れています。
間取り図や家づくりの経緯、ほかの写真もこちらでぜひごらんください。
まとめ
開放感がある家をつくるためには、ただ大きな窓や吹き抜けをつくれば良いわけではなく、さまざまな要素を踏まえて全体のバランスを考える必要があります。
また、プライバシー性や窓から見える景色など、土地を含めた設計の工夫も求められます。
今回ご紹介したような施工実例も参考にして、開放感と住みやすさのバランスを提案してくれる設計者に相談しましょう。
私たちcaseIT(ケースイット)は、お客様のご要望をお伺いし、設計から施工までワンストップでお手伝する設計・施工会社です。
理想のイメージに合わせて、土地選びから間取りづくり、施工までトータルサポートいたしますので、どんなこともお気軽にご相談ください。