家を建てるなら木造と鉄骨造どっちがいい?価格や間取りの自由度などを比較
2025/3/30
注文住宅は間取りや設備、デザインを自由に選べるのがメリットですが、木造・鉄骨造などどの構造で建てるべきか迷う方も多いようです。
内装やキッチン・ユニットバスなどの設備は将来リフォームで変えることができますが、建物の構造自体は変更できません。
一般的な戸建て住宅では木造が主流ですが、大手ハウスメーカーなど鉄骨造を扱う会社もあり、耐震性や間取りの自由度など違いが気になるところです。
そこでこの記事では、木造・鉄骨造の違いやメリット・デメリットについて、価格・間取りの自由度・性能など複数の視点から分かりやすく解説します。
それぞれのメリット・デメリットについてフラットに比較した後、木造と鉄骨造の選び方の結論をまとめていますので、ぜひ住まいづくりの参考にしてください。
コラムのポイント
- 2024年の新築着工数は、木造約20万件、鉄骨造は約2.1万件と、木造住宅の比率が高くなっています。
- 木造と鉄骨造どちらが優れているというわけではなく、予算や求める住まいに合わせて選択することが大切です。
- 木造と鉄骨造両方の施工実績があり、メリット・デメリットを踏まえたうえで提案できる施工会社に相談するのが理想的な工法を選ぶコツです。
Contents
注文住宅の構造をおさらい
注文住宅で採用されることがある構造は木造・鉄骨造の2種類ではなく、さらにさまざまなバリエーションがあります。
木造と鉄骨造を比較する前に、まずは基本的な種類や特徴をおさらいしておきましょう。
木造の種類 | 概要・特徴 |
木造軸組み工法(在来工法) | 土台・柱・梁・筋交いなどの木材を組み合わせて建物を支える。日本発祥の伝統的な工法。 |
木造枠組み工法(ツーバイフォー工法) | 枠材と構造用合板を組み合わせたパネルの6面体をつくり建物を支える。北米発祥の構法。 |
SE構法(SE工法) | 柱と梁の剛接合によるラーメン構造で建物を支える。鉄骨造のように広い柱スパンをつくれる。 |
軽量鉄骨造 | 柱や梁に厚さ6mm未満の鋼材を使用し建物を支える。 |
重量鉄骨造 | 柱や梁に厚さ6mm以上の鋼材を使用し建物を支える。 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 鉄筋によって補強されたコンクリートで躯体をつくる。 |
上記のように、メジャーなものだけでも木造・鉄骨造ともに複数の工法があります。
また、最近はハウスメーカーや工務店が独自に開発した工法や、木造と鉄骨造を組み合わせた工法なども登場しています。
つまり、実際に家を建てるときは、木造・鉄骨造の2種類だけでなく、さまざまな違いを把握したうえで工法を選ぶ必要があるということです。
しかし、一般の方が全ての工法を勉強し、比較検討するのは困難ですし時間もかかります。
次の章から、基本的な木造・鉄骨造の傾向や考え方を1つずつ確認していきましょう。
木造と鉄骨、建てる人が多いのはどっち?
前述したように一般的な注文住宅では木造が主流ですが、実際に鉄骨造とどれくらいの差があるのかチェックしてみましょう。
木造・鉄骨造の着工数と、参考として鉄筋コンクリート造のデータも比較してみます。
構造 | 着工数 |
木造 | 200,127件 |
鉄骨造 | 21,479件 |
鉄筋コンクリート造 | 1,966件 |
参照:建築着工統計調査2024年 持家・新設のデータを引用
新築持家の着工数は、木造約20万件に対し、鉄骨造は約2.1万件とかなりの差がありますね。
鉄筋コンクリート造の約2,000件より鉄骨造の方が多いですが、全国的に見るとほとんどの方が木造戸建て住宅を選んでいることが分かります。
一般的な注文住宅の場合は木造でも理想の間取りを実現できることが多く、コストパフォーマンスも鉄骨造より高いのが大きな理由です。
木造と鉄骨造、価格が安いのはどっち?
一戸建ての木造と鉄骨造を比較する際、建築価格の差も気になるところです。
こちらも建築着工統計のデータから、木造と鉄骨造、参考に鉄筋コンクリート造の工事費をピックアップして比較してみましょう。
構造 | 1㎡あたり工事費予定額 | 1戸あたり工事費予定額 |
木造 | 25万円 | 2,758万円 |
鉄骨造 | 35万円 | 4,302万円 |
鉄筋コンクリート造 | 38万円 | 5,574万円 |
参照:建築着工統計調査2024年 新築一戸建て・持家のデータを引用
木造戸建て住宅の平均工事金額は1㎡あたり25万円、仮に100㎡(約30坪)の家だと2,500万円が相場になるということですね。
鉄骨造の平均工事金額は1㎡あたり35万円で、同じ100㎡で計算すると3,500万円と1,000万円の差額があります。
鉄筋コンクリート造と鉄骨造の差額は小さいですが、木造はかなり費用を抑えられることが分かりますね。
平均データで比較すると木造は鉄骨造よりコストパフォーマンスに優れるため、多くの戸建て住宅で採用されているようです。
木造と鉄骨、間取りの自由度が高いのはどっち?
理想の住まいの実現性に関わる間取りの自由度については、木造より鉄骨造の方が選択肢が増えることが多いです。
一般的な注文住宅の間取りなら木造でも実現できることが多く、設計に制限が出ることはほとんどありません。
しかし、柱のない大空間や、2階が大きく張り出したオーバーハングなど、特殊な間取りをつくる場合は、鉄骨造の方が対応しやすいことが多いです。
ただし、軽量鉄骨造の場合は柱スパンを広く取るのは難しいことが多く、木造と比べて間取り自由のメリットはあまりありません。
特殊な間取りを採用する場合は、木造より重量鉄骨造の方が理想の住まいを実現できる可能性が高くなることがあります。
ただし、木造でもSE構法のように広い柱スパンをつくる方法もあり、重量鉄骨造でないと実現できないとは限りません。
〈関連コラム〉
木造と鉄骨造、断熱性が高いのはどっち?
住まいの省エネ性能が重視される昨今では、木造と鉄骨造どちらの方が断熱性能が高いのかも気になるポイントです。
断熱性については鉄骨造より木造の方が優れると言われることが多いですが、住宅全体の性能については一概に決められません。
材質 | 熱伝導率 |
木材 | 0.2W/m・K程度 |
鋼材 | 60~80 W/m・K |
素材そのものの熱伝導率は、鉄骨造に使われる鋼材より木材の方が低いのは事実です。
しかし、躯体に使われる木材や鋼材は、室内に直接露出するケースは少なく、断熱性に直接大きな影響を与えるわけではありません。
住まい全体の断熱性は、床や壁に使用される断熱材、サッシやガラスのグレードなどさまざまな要素で変動します。
木材自体は熱を伝えにくいのは事実ですが、ただ木造で建てれば断熱性能が高い家になるというわけではありません。
また、鉄骨造自体は熱を伝えやすい素材ですが、工夫次第で断熱性能が高い家を建てることもできるのです。
住まいの断熱性能は「断熱等性能等級」で評価されるため、構造だけではなく予算に合わせて適切な性能を選択することが大切です。
住まいの断熱性能についてはこちらのコラムで詳しく解説しています。
〈関連コラム〉
断熱等級が高い家を建てるメリット・デメリット|4~7の違いや考え方を解説
木造と鉄骨造、耐震性が高いのはどっち?
地震が多い日本での住まいづくりでは、木造・鉄骨造の耐震性の違いも気になるところです。
一般的には鉄骨造の方が耐震性は高いイメージが強いですが、木造とどちらが優れていると決めつけることはできません。
住まいの耐震性は、壁の量やバランス、開口部の大きさや位置などさまざまな要素で変わります。
鉄骨造だから耐震性が高く地震に強いとは言い切れず、木造でも同等、または上回る耐震性で設計することも可能です。
住まいの耐震性については構造だけでなく、耐震等級という指標を参考にするのが分かりやすいです。
耐震等級についてこちらのコラムで詳しく解説していますので、あわせてごらんください。
〈関連コラム〉
耐震等級は意味がない?耐震等級3は必要なのか、考え方のポイントを解説
木造と鉄骨造、耐久性が高いのはどっち?
近年は環境保護の観点から1つの住まいで長く暮らすことが求められており、木造と鉄骨造の耐久性についても気になるところです。
構造 | 法定耐用年数 |
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
日本の税制における法定耐用年数は上記のように定められていて、鉄骨造より木造の方が短くなっています。
しかし、この年数はあくまで減価償却のために設定された数字であり、実際の寿命ではありません。
一般的には木材より鉄骨の方が長持ちしそうなイメージを持つ方が多いですが、耐久性についてもどちらが高いとは言い切れないのです。
木材は雨漏りによる腐食やシロアリ被害などのリスクがありますが、適切にメンテナンスしていれば100年以上の耐久性があると言われています。
実際、数百年前に建てられた木造建築物や古民家が現存することも、木材の耐久性が高い証明の1つです。
一方、鉄骨はシロアリ被害のリスクがないのがメリットですが、雨漏りや結露によるサビのリスクがあり、適切なメンテナンスが必要な点は木材と変わりません。
鉄骨造は重量・軽量どちらも木造より地震による揺れが大きい傾向があり、すき間から雨漏りが発生するリスクもあります。
住まいの耐久性は構造だけでなく、屋根や外壁にどのような材料を使うか、適切にメンテナンスされているかで変わってきます。
【結論】家を建てるなら木造と鉄骨どっちがいい?
ここまで複数の視点で比較してきたように、木造と鉄骨造はそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらがマッチするかはケースバイケースです。
ただし、一般的な規模や間取りの注文住宅を建てる場合、木造住宅のメリットが大きくなる可能性が高いでしょう。
木造でもほとんどの間取りに対応できますし、同じ住まいを建てる場合、鉄骨造よりコストを抑えることができます。
耐震性や断熱性、耐久性などの住宅性能も、鉄骨造・木造どちらか一方が優れているわけではなく、予算に合わせて選択可能です。
特殊な間取りをつくるのでなければ、木造の方が予算内で多くの要望を実現できる可能性が高くなります。
インターネットの情報やイメージだけで判断するのではなく、予算や理想の住まい像から逆算して、適切な構造を選ぶことが大切です。
木造・鉄骨造で迷った場合は、両方の構造の施工実績がある施工会社に相談するのがおすすめです。
木造・鉄骨造両方の実績があれば、それぞれの特徴やメリット・デメリットを踏まえて、お施主様のご要望に合う工法を提案することができます。
私たちcaseIT(ケースイット)は、設計施工会社として木造・鉄骨造両方の施工実績があり、お客様にマッチする工法をご提案いたします。
予算・間取り・デザイン・性能など、お客様のご要望に合わせてバランスの良い住まいをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。