耐震等級は意味がない?耐震等級3は必要なのか、考え方のポイントを解説
2025/2/28
地震が多い日本の住まいづくりでは耐震性能が重要ですが、最近は耐震等級という性能について迷われる方が増えています。
耐震等級は意味がない、1~2でも十分という意見もあり、どの基準で建てるべきかはケースバイケースです。
耐震等級を高めることには一定のメリットもありますが、建築コストの増加や設計の制限といったデメリットもあり、予算や住まい全体の設計などバランスを取ることが大切です。
そこでこの記事では、耐震等級を高めるメリットとデメリット両面を比較し、どの基準で建てるべきかの考え方について詳しく解説します。
コラムのポイント
- 耐震等級は3つの段階に分かれており、数字が大きくなるほど耐震性が高い基準になります。
- 耐震等級を高めても必ず地震による倒壊を防げるわけではなく、建築コストの増加や設計の制限といったデメリットもあります。
Contents
耐震等級とは?
耐震等級は建物の耐震性能を評価する基準であり、等級1から3までの3段階に分かれています。
耐震等級は住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)によって規定されているもので、建築基準法における「耐震基準」とは別の指標です。
- 耐震等級1:数百年に一度の大地震(震度6強~7)でも倒壊しない基準
- 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の耐震性
- 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の耐震性
上記のように、耐震等級1が最低基準で、数字が大きくなるほど耐震性能が高くなります。
耐震等級1は建築基準法における最低限の耐震基準と同じで、震度6強~7の地震に対して倒壊しない想定の性能です。
すべての建物は耐震等級1をクリアすることが義務付けられています。
耐震基準2は、耐震等級1の1.25倍の地震力に対して倒壊しない想定の基準です。
災害時の避難指定場所になる学校や病院などの公共施設は、耐震等級2の基準を満たす必要があります。
最高等級である耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の耐震性で、警察署や消防署などはこの基準で設計されています。
耐震等級を高めることには、メリットとデメリット両面があり、どの基準で家を建てるべきかは一概に言えません。
次の章から、耐震等級が高い家を建てるメリット・デメリットを1つずつチェックしていきましょう。
耐震等級が高い家を建てるメリット
住まいの耐震等級を高めることで、次のような複数のメリットが生まれます。
地震による倒壊・損壊リスクの軽減
耐震等級2~3で設計することで、耐震性が高く地震による倒壊や破損リスクが少ない家を建てられるのは大きなメリットです。
高い耐震等級をクリアするためには、耐震壁の量やバランス、建物の重量などさまざまな基準を満たす必要があり、地震に強い家になります。
大きな地震が発生したときの倒壊リスクを軽減するだけでなく、建物の破損を減らしてその後も住み続けられるようにする目的もあります。
今後も大きな地震の発生が予測されている日本において、大きなメリットと言えるでしょう。
長期優良住宅認定による税制上のメリットがある
耐震等級が高い家は、長期優良住宅の認定を受けることで税制上のメリットも生まれます。
長期優良住宅とは、長期間良好な状態で住み続けられるための措置を講じられた住まいのことです。
建物の規模や条件によりますが、耐震等級2~3を満たすことで長期優良住宅の認定を受けることができ、税制上の特例措置を適用できます。
- 住宅ローン減税の限度額を引き上げ
- 登録免許税の引き下げ
- 不動産取得税の控除額の増額
- 固定資産税の減税措置適用期間の延長
具体的には上記のような減税制度があり、注文住宅の初期費用や暮らし始めてからの税金の負担を軽減できます。
住宅ローンの金利優遇を活用できる
耐震等級2、または3の家を建てる場合、住宅ローンのフラット35の優遇金利プランを活用できるのもメリットです。
耐震等級以外の条件もありますが、当初5年間0.25~0.5%金利が引き下げられるため、住宅ローンの総支払額を抑えることができます。
参照:【フラット35】S
地震保険の割引
耐震等級の性能評価書を取得すると、「耐震等級割引」により地震保険料を減額できるのもメリットです。
割引率 | |
耐震等級1 | 10% |
耐震等級2 | 30% |
耐震等級3 | 50% |
地震保険をかける場合はランニングコストの1種になるため、長く暮らすほど保険料の負担を抑えることができます。
資産価値の向上
耐震等級が高い家は倒壊リスクだけでなく地震の揺れによる損壊も抑えやすいため、資産価値が向上し、将来の売却時に有利になる可能性があります。
耐震性能の性能評価書を取得していれば、不動産情報に記載でき、買主の目に留まりやすくなり売却益も期待できます。
耐震等級が高い家を建てるデメリット
さまざまなメリットがある反面、耐震等級が高い家を建てることには次のようなデメリットもあるため注意が必要です。
初期費用が多くなる
耐震等級を高める場合、材料や工事費、申請費用などがかかり初期費用が多めにかかるのがデメリットです。
どれくらいの金額差になるかは建物の規模や設計にもよりますが、初期費用が増えることで必要な頭金や住宅ローン返済額の負担も大きくなります。
コスト面で耐震等級を検討する場合は、減税や優遇金利などのメリットと初期費用の負担を比較する必要があります。
設計の制約が大きくなる
高い耐震等級ほど必要な壁量などが増えるため、設計の制約が大きくなり、思ったようなデザインや間取りをつくれなくなる可能性もあります。
窓のサイズに制限を受けたり、柱や壁のない大空間をつくれなくなったり、設計の自由度が下がると理想のマイホームを建てられないケースも。
耐震等級は意味がないと言われる理由は?
前述したように耐震等級にはメリット・デメリット両面ありますが、インターネットで検索すると「耐震等級3は意味がない」「耐震等級2でも十分」などさまざまな意見があります。
耐震等級は意味がないと言われている理由についてまとめてみました。
必ず倒壊を防げるわけではないから
耐震等級を高めたからといって、大きな地震が発生したときに必ず倒壊を防げるわけではないため、意味がないと言われることが多いようです。
耐震等級はあくまで建物の耐震性を表す指標であり、地震による倒壊や損壊を防ぐことを保証するものではありません。
高い耐震等級で設計しても倒壊するリスクはゼロにはならないため、意味がないと感じる方も多いようです。
大地震がなければメリットを感じられないから
日本は地震大国と言われていますが、実際に大きな地震がいつ発生するかは分からないため、耐震等級には意味がないと考える方もいるようです。
確かに、天災である地震がいつ発生するか正確に予測するのは難しく、震度6以上の揺れに見舞われる確率はそれほど高くはありません。
実際に家を建てる場所で大地震が発生するとは限らないため、耐震等級にはそれほどこだわらないと考える方も多いようです。
【結論】どの耐震等級で建てるべき?
ここまで見てきたように、どの耐震等級で家を建てるべきかに正解はなく、一概に決められるものではありません。
考え方次第で耐震等級1~2で十分という方もいれば、最高等級の3で建てたいと考える方もいます。
ただし、耐震等級はあくまで住まいを構成する要素の1つですから、予算や全体のバランスを考えることが大切です。
例えば、暑さや寒さを感じにくい快適な空間を重視するなら、耐震等級より断熱等級を高めた方が満足度の高いマイホームになります。
〈関連コラム〉
断熱等級が高い家を建てるメリット・デメリット|4~7の違いや考え方を解説
また、ライフスタイルや住まいでの過ごし方にこだわるなら、間取りやデザインにコストをかけてこだわった方が良いでしょう。
耐震等級ありきで考えるのではなく、どのような家を建てたいのかイメージし、全体のバランスで決めるのがおすすめです。
ただし、耐震等級1は1981年に定められた新耐震基準と同じレベルですから、これから建てるなら耐震等級2以上を検討したいところです。
耐震等級2以上なら長期優良住宅の認定を取得でき、前述したコスト面のメリットを受けることもできます。
こちらは、私たち設計施工会社caseIT(ケースイット)がお手伝いし、耐震等級2で長期優良住宅の認定を取得した施工事例です。
ケースイットは耐震等級2を最低基準とし、予算や住まいに対するご要望に合わせて耐震等級3にも対応いたします。
耐震性はもちろん、暮らしやすさや快適性なども踏まえ、バランスの良い住まいづくりをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。